内容説明
日本国憲法誕生の現場に立会い、あの占領軍司令部相手に一歩も退かなかった男。常に活眼を世界に注ぎつつ、わが道を行く天衣無縫の気概。物事の筋を通し、自説を枉げぬ強靱さ。と同時に、内に秘めた優しさ、しなやかさ、ユーモア。端正な面立ち、洒落た身なり、寸鉄の片言…。正子夫人をはじめ、この男に魅せられた人々の「証言」から蘇える「昭和史を駆けぬけた巨人」の人間像。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
156
貿易庁長官、東北電力会長を歴任した白洲次郎の語録を夫人の白洲正子が企画、青柳恵介が歴史を含めてまとめた。辰巳栄一、吉田茂、大島浩、白洲正子、白洲文平、白洲芳子、今日出海、吉川幸次郎、牛場友彦、徳川家広、ロビン・ビング、牧山圭男、近衞文麿、麻生和子、小林秀雄、河上徹太郎、コートニー・ホイットニー、今日出海、永山時雄、宮沢喜一、豊田章一郎などなど登場人物を並べるだけでもすごい。文学の棚になかった。伝記の棚にありました。発起人には堤清二、幹事には、盛田昭夫なども。解説両角良彦。2013/06/16
chimako
85
白州次郎と言う人は気持ちの良い男だったのだろう。金持ちの家に生まれ、若くして外国で学び、英語が堪能で戦後の日本に重要な役割を果たした。この本に登場するお歴々は戦後日本をリードした人たち。自分の生活とはかけ離れすぎていて実感の持てない読書だった。吉田茂との関わりを読みながら、我国の政治はいまだに明治維新を引きずっているのだと辟易としてしまった。大久保利通の孫と結婚した吉田茂。その娘と結婚した麻生太郎の父(麻生太郎は吉田茂が孫)、長州藩士佐藤信寛のひ孫の岸信介、その孫の安倍晋三。やれやれ。 2018/11/16
どんぐり
82
白洲正子の自伝に次いで、白洲次郎(1902-1985)の評伝である。1925年ケンブリッジ大卒、1929年に正子と結婚。身長180㎝、人は見た目が9割というけれど、とにかく格好いいのである。「権力を笠に着ていばっている人間に対して、動物的とも言うべきムキ出しの闘志をもって挑みかかる」という人物像。時の外務大臣(終戦連絡事務局総裁兼務)吉田茂の要請によって、GHQ当局との交渉に当たり、日本国憲法誕生の現場にも立ち会う。日本の政治の中心に身を置きながら、「僕は政治家じゃない」と言って、代議士にはなろうとしなか2020/05/24
神太郎
56
たまたまあった家にあった本だ。語録として作ろうとしたが結局のところ評伝のようなドキュメンタリーのようなタッチの体裁になっている。だが、この白洲次郎とにかく規格外!ただただ唖然とする。先見の明もあるし、何より人を見る目線が鋭い。独自の世界観を持ちつつも、ノブレスオブリージュを地で行く。言いたいことがあれば誰であれ臆することなく言う。ただ、読んでみるに嫌味な男には見えない。清々しいくらいに気持ちのいい男だ。この時代の人達は真剣に日本を何とかしないとと思って生きている。真剣さ。こういう人間こそ今の日本に欲しい。2020/05/24
ミカママ
52
ちょっと前に日本でブームになった(?)と聞き、あわてて手に取ってみました。途中こむずかしい経済のお話なんかもあって、思わず本を閉じようとしたところ、昭和の後半になってどんどん経済音痴の私なんかでも知ってる大御所の名前が出てきて、そこからは一気に読めました。いやーかっこいいですね。あの時代に身長180センチ、背すじもすっと伸び、俳優さんばりのルックス、そして歯に衣着せぬ言動のかずかず。80近くまでご自分で車を運転していたとか。こんなかっこいい人が大正、昭和の時代を駆け抜けたんだ、胸がすく思いがしました。2013/03/26