新潮文庫<br> セント・メリーのリボン

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新潮文庫
セント・メリーのリボン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 257p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101218120
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

都会暮らしからレイドバックして、大阪西北端の山林に暮らす竜門卓。彼の生業は行方不明になった猟犬を探すことだった。そんな彼のところへ失踪した盲導犬の行方を突き止める仕事が舞い込んだ。依頼者は名家の令嬢。目の不自由な彼女にとって唯一の心の支えだった犬だ…感動的なラストシーンが用意された表題作はじめ、“男の贈り物”をテーマにした五編を収める短編小説集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

goro@80.7

54
再読。5編の短編集。背中が丸まってしまった時は稲見一良ですわ。「セント・メリーのリボン」は秀逸だし中でも「花見川の要塞」のような過去と繋がってしまうような物語も良いわ。ひとつ筋の通った男たちを病に侵されながらも残したかったのでしょう。2021/12/05

カムイ

52
稲見一良氏の作品はカムイにとっては特別である。ハードボイルド作品がメインですが男の童話としても読めてしまう、一話一話は短い物語で登場人物の詳細を明らかにしない、その後の物語は読者にゆだねている、表題作の【セント・メリーのリボン】は大切なものが帰ってくるのはその人の人生を生き返らせてくれているクリスマスのプレゼント🎁みたいなものである。稲見氏は生涯に八冊の本を出しているが癌を発症したので心半ばで他界してしまう、もっと竜門とジョーの物語を紡いでほしかった。2021/09/05

背番号10@せばてん。

35
【1991_日本冒険小説協会大賞 最優秀短編賞】1996年2月13日読了。自分はこの新潮文庫で読みましたが、読メでは光文社文庫が圧倒。『登録は自分が読了した版を…』という、マイルール破りの誘惑にかられます。(2019年12月14日入力)1996/02/13

KEI

35
5編の短編、5人の男の物語。著者の本は「ダック・コール」2に次いで2冊目なのですが、登場する男たちに魅了されます。タフ、機転が利く、それでいて優しさを備え合わせ、料理も上手そう!同性から見ても惚れ惚れする事でしょう。無駄をそぎ落とした文章、野鳥をはじめ自然の描写からも「大人の男の目線」を感じます。「焚火」の老人は何者?「花見川の要塞」は時間を超えたメルヘン、「終着駅」では消えゆく赤帽さんの姿と、一瞬の賭けが、「セント・メリーのリボン」はタイトルの意味が分かった時、登場人物の心が胸に沁みました。お薦め2017/05/04

Tetchy

18
よくこの人の作品は“男のメルヘン”と云われるが本作もまさにそう。稲見作品の特徴として野外の食事の描写が挙げられる。素朴で粗野な食事をなんとも上手そうに描写する筆致はこちらの涎を誘う。そして野鳥がモチーフとして出てくる事。この野鳥に対する愛情が行間から滲み出てきている。いや、野鳥だけでなく食事の件も含め、自然への愛情と敬意がそこはかとなく心に染みゆく。とにかく全てが色彩鮮やかだ。風景も物語も。個人的ベストは「花見川の要塞」。2009/10/05

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