出版社内容情報
猫のまたぐらよりも暑い夏の日、マフィアのボス、チェレンコフは、武装警官隊に襲撃され、殺された。独り残されたペットのヒョウアザラシのヒョーは、空腹に耐えかね、アザラシ専用ゴルフカートに乗り、荒廃した外の世界へ飛び出す――。ヒョーのつぶらな瞳に映る、汚染された土地、プラスチックの雨、そして奇妙な人々……。唯一無二の読後感、ユーモアと悲哀に満ち溢れた、不条理で美しい、旅の物語。
内容説明
猫のまたぐらよりも暑い夏の日、マフィアのボス、チェレンコフは、武装警官隊に襲撃され、殺された。独り残されたペットのヒョウアザラシのヒョーは、空腹に耐えかね、アザラシ専用ゴルフカートに乗り、荒廃した外の世界へ飛び出す―。ヒョーのつぶらな瞳に映る、汚染された土地、プラスチックの雨、そして奇妙な人々…。唯一無二の読後感、ユーモアと悲哀に満ち溢れた、不条理で美しい、旅の物語。
著者等紹介
一條次郎[イチジョウジロウ]
1974(昭和49)年生れ。山形大学人文学部卒業。2015(平成27)年、『レプリカたちの夜』で新潮ミステリー大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kanonlicht
48
マフィアに飼われていたヒョウアザラシのヒョーの冒険譚。放射能に汚染され、海には廃棄されたプラスチックが浮かぶ荒廃した世界で、奇妙な人々と邂逅していく。著者おなじみの不条理な世界観はますます冴えわたり、主人公のアザラシが一番の常識人(?)というアイロニーが最高。原発や環境破壊に警鐘を鳴らしているようにみえて、著者自身にはあまりそのつもりがないというのも面白い。2025/09/29
ちょん
21
ショッキングピンクが可愛い本。ですが片仮名名前が苦手な私にとっては中々に辛い本で読むのに時間が掛かりました。ですがラストシーンとても良かったな。なんか切なくて、でもあったかくて良かったね、って声掛けてあげたくなるラスト。一條さんのお話ってクセがあってすごく好きです。そしてこの一條さんのお話をより鮮やかにしてくれる表紙絵の木原未来沙紀さんも本当に素敵。2025/06/23
宗蓮
15
馴染み良さから次から次へと消費されていくのがポップというもの。しかし永遠に消費され続ける、いや、誰にも完全には消費され切ることなく永遠に残る強さもまたポップさだ。一条作品は間違いなく後者。どうしようもない世界観(しかし現実である)の中で真剣ながらもこれまたどうしようもない登場人物たちが生きたり死んだり生きていたり。そこに悲哀のようなものを感じたりもするが、一貫してユーモアと愛に貫かれていると思う。狂ってるのはドコだ?2024/12/15
君塚
14
アザラシかわいい。丸い肩をすくめるみたいな表現がいちいち愛らしい。可笑しな会話と小粋なアザラシジョークを交えつつ、鮮やかな色彩に彩られた世界での愉快な冒険が描かれる。本当に?消費と利己性を主題とするメッセージ性がありそうな気もしつつ、そういう読み方は無粋なのかもしれない。アザラシは何も教えてくれない、救ってもくれない。2025/01/08
しきぶ
11
ジャケ買いの本。あらすじも面白そうだったので。飼い主であるマフィアのボスを殺されたアザラシのヒョーはアザラシ専用ゴルフカートで外の世界に飛び出す。そこは荒廃した世界。カートを乗り回すアザラシなんて面白すぎると展開を楽しみにしていたら速攻で廃車に…。荒廃した世界の描き方が突き抜けていて、環境破壊の恐ろしさを描くとかそんなレベルではなく、想像を絶する不気味さと面白さ。しかし私たちがそんな世界の入口にいるようで少しゾッとする。登場するものの命名のセンスが抜群。ユーモアたっぷり、バカバカしいけど物哀しくもあり。 2025/02/28




