新潮文庫<br> 介護民俗学という希望―「すまいるほーむ」の物語

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新潮文庫
介護民俗学という希望―「すまいるほーむ」の物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 400p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101214467
  • NDC分類 369.26
  • Cコード C0195

出版社内容情報

ここは沼津市のデイサービス施設「すまいるほーむ」。デイルームや入浴介助の場で、ふと語られる記憶の数々。意外な戦争体験、昭和の恋バナ、心に沁みるエピソード。多彩な物語が笑いと涙を呼び、豊かな時間が流れる。聞き書きや思い出の味の再現、人生すごろくなどユニークな取り組みが問いかける、老いることの価値とは。深い気づきと新鮮な感動に満ちた一冊。『介護民俗学へようこそ!』改題。

六車 由実[ムグルマ ユミ]
著・文・その他

内容説明

ここは沼津市のデイサービス施設「すまいるほーむ」。デイルームや入浴介助の場で、ふと語られる記憶の数々。意外な戦争体験、昭和の恋バナ、心に沁みるエピソード。多彩な物語が笑いと涙を呼び、豊かな時間が流れる。聞き書きや思い出の味の再現、人生すごろくなどユニークな取り組みが問いかける、老いることの価値とは。深い気づきと新鮮な感動に満ちた一冊。

目次

第1章 聞き書きの沃野へ―すまいるほーむの風景(清子さんのいなり寿司;彼女たちの挺身隊 ほか)
第2章 死を想う(灯籠流しがつなぐもの;哀しみを共にしたい)
第3章 すまいるほーむができるまで―村松社長への聞き書き(老人病院への「罪悪感」から始まった;自分も行きたいと思える場所をめざして)
第4章 認知症の人と共に(聞き書きクライシス;共に食べる―食事介助の奥深さ ほか)
終章 聞き書きで介護の世界が変わっていく(みんなで座談会;表現としての聞き書き)

著者等紹介

六車由実[ムグルマユミ]
1970(昭和45)年静岡県生れ。社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員。大阪大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。専攻は民俗学。2003(平成15)年、『神、人を喰う―人身御供の民俗学』でサントリー学芸賞受賞。東北芸術工科大学芸術学部准教授を経て、介護士に。介護の現場に民俗学の「聞き書き」の手法を取り入れた経緯を綴った『驚きの介護民俗学』で脚光を浴びる。同書は日本医学ジャーナリスト協会賞大賞を受賞。デイサービス施設「すまいるほーむ」管理者・生活相談員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アナクマ

39
「老い」が「成熟」として尊重される世界に。これは先達にとってだけでなく、これから老いる全ての我々のためにも実現したい世界観。◉その手法として介護民俗学の創造・実践を紹介。これは介護する側にも、地域社会にも敷衍できる方法論であると。だから、希望。◉「50歳を過ぎて尊敬されない人生は虚しい」とか村上龍は言ったが(それはそれで重要だろうが)、「どの人もホント興味深いよね」と言いあえる心象はさらに重要だろう。その確度をあげるために「聞き書き」は今後のキーワードと思っていたところだったので、その意を強くしました。2018/08/14

アナクマ

23
実践と検証という2軸で再読開始。◉1章_聞き書きの〈沃野〉へ。介護する側とされる側という固定・硬直化された役割を壊して逆転させる力「介護の有り様を柔軟な開かれたものに変えていく可能性」が、聞き書きにはあるという。例えば「手のかかる存在でしかなかった認知症の利用者さんが…尊敬すべき人生の大先輩…人として愛おしくなったのである」◉繰り返し参照したい重要な二行は「民俗学の主たる方法である聞き書きが、介護現場でも有用性を持つのではないか」と「語り手と聞き手の関係性」。とくに前段3語の意味と関係性に注目。2023/03/22

A.Sakurai

6
前著「驚きの介護民俗学」は介護の場に民俗学を導入して効果を上げる,すごい内容だったのだが,厳しい介護現場で展開できるのか疑念はあった.本書はまさにその回答編として,小規模な介護施設に移って実践した記録となる.聞き書きの事例自体は前著の方が豊富だが,本書では聞き書きが介護するものと介護されるものという一方的な関係を崩すことで現場に良い影響が生まれる事例が中心となる.認知症の方が語る物語に遠野物語のような異世界を覗く面白さや,聞き書きが「聞く」より「書く」創作の楽しさに依拠しているなど,ハッとする指摘も多い.2018/06/06

まゆ

3
聞き書きという方法を介護現場で実践するノンフィクション。介護する側、される側という関係でなく、利用者の方にスタッフが踊りを教えてもらい先生と生徒みたいになったりそんな人と人という普通の関係ができているところが素敵だと思った。聞き書きをされる人の人生をみんなで振り返って共感してよりその人のことを深く知ることで理解し合える居心地の良い場所になっているすまいるホームのような介護施設が増えるといいなと思った。利用者、スタッフみんなで作っていく自分たちの場所というのが印象的だった。2018/09/23

はるたろうQQ

2
村松社長の聞き書や神社のお札の話、認知症の紀子さんの話が身に染みる。私の父も認知症で老健で亡くなった。そこには家に帰りたいと願う人と喜怒哀楽なくただ生きている人がいた。帰りたいと願う人は私にもこっそり家に連れて行ってくれと頼むのだった。父も最初ブツブツ言っていたが、次第に何も言えなくなって、体の自由が無くなり最後は口から食べられなくなって死んだ。恐らく最初は何で俺はこんな所にいるのかと怒りがあったのだろう。本書を読むまで気が付かなかったが、こちらの事情も分かって許して貰えると父に甘えていたのかもしれない。2020/05/31

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