出版社内容情報
女は、旦那様に一生愛されるのがしあわせなのよ――。珠美子にそう語っていた母・園枝が急死した。有毒植物が体内から検出されたという。事故か自殺か、それとも。困惑のなか遺品整理に出向いた珠美子だったが、そこに端正な顔立ちの若い男性・雪仁が訪ねてくる。園枝の死を知った彼は震えて嗚咽した。良妻賢母の見本のような園枝と雪仁の関係は……。すれ違いながら衝突する母娘を描く連作集。
内容説明
女は、旦那様に一生愛されるのがしあわせなのよ―。珠美子にそう語っていた母・園枝が急死した。有毒植物が体内から検出されたという。事故か自殺か、それとも。困惑のなか遺品整理に出向いた珠美子だったが、そこに端正な顔立ちの若い男性・雪仁が訪ねてくる。園枝の死を知った彼は震えて嗚咽した。良妻賢母の見本のような園枝と雪仁の関係は…。すれ違いながら衝突する母娘を描く連作集。
著者等紹介
森美樹[モリミキ]
1970(昭和45)年、埼玉県生れ。’95(平成7)年、少女小説家としてデビュー。その後5年間の休筆期間を経て、2013年、「朝凪」(「まばたきがスイッチ」と改題)で、R‐18文学賞読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜長月🌙@読書会10周年
51
雪仁(ゆきひと)はファミリータイズに勤めています。この会社の業務はニセの人間関係です。嘘の恋人、嘘の友人、嘘の両親……。お金で人を買う行為は何となくうさんくささがありますが全ての仕事は人をお金で買っているのです。本当の人間関係とお金で買った人間関係がいたるところで交わっていきます。「いろいろなケア」がとても衝撃的でしたがこれも妻が夫のために人を買ったのでした。2024/05/23
けいこ
30
ねっとりとした雰囲気の連作短編集。自分の母親が『女』であること。考えたくないし、母親自身『母』『妻』の他に自分を表すものが見えない。でも、夫の性や死、ある男性との出逢いによって、心からの欲望が湧き出でる。『本当の私は欲深く、グロテスクで生々しい。それがむきだしの、生来の美しさだ』。破滅の道に進んだとしても、自分の欲に従って生ききった。いつもながら森さんの描く女性は気持ち悪いけれど、癖になる。今回も面白かった。2024/09/11
ぶんぶん
19
【図書館】何とも言えない物語だった、「主婦病」も読んだけど、やるせない気持ちが残る。 女の情念と言うか、灰になるまでの執念と言うか、凄いものがある。 母親になっても若い男が気になる初老の女性、判る気もするが・・・ 感性が心を揺さぶるお話しでした。 ドロドロしたSEX描写にしなかったのも良かった。 最終章はいらなかったかな?2025/05/23
スリカータ
13
意味深な表紙。着ている洋服の柄は…。一人暮らしの前期高齢者の母親の死。自殺か他殺か事故死か、冒頭で引き込まれたが徐々に早速した。それぞれの関係者目線で語られているが、こんなに引っ張らなくても良かったのでは。結局、私には理解の及ばない真理だった。2024/03/29
こばゆみ
11
夫に先立たれ子も自立し、一人暮らしをしていた園枝が自宅で亡くなり、体内から聞き慣れない毒物が検出された、という不穏な空気で始まるお話。そしてその不穏な空気を漂わせたまま、毒物の謎と晩年の園枝の暮らしが明らかになっていく。ストーリーを愉しむよりは、情景描写を愉しむように感じた。近々主婦病も読んでみたい。2024/02/25