内容説明
「たとえ専業主婦でも、女はいざという時のために最低百万円は隠し持っているべきでしょう」。新聞の悩み相談で目にした回答をきっかけに、美津子はある仕事を始めた。八時三十分から三時まで、昼休憩を除いて六時間勤務。完全在宅勤務でノルマなし。欠かせないのは、熟したトマト―。R‐18文学賞読者賞を受賞した「まばたきがスイッチ」をはじめ、生きる孤独と光を描ききる六編を収録!
著者等紹介
森美樹[モリミキ]
1970(昭和45)年、埼玉県生れ。’95(平成7)年、少女小説家としてデビュー。その後5年間の休筆期間を経て、2013年、「朝凪」(「まばたきがスイッチ」と改題)で、R‐18文学賞読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
175
本作に収録されている「まばたきがスイッチ」でR18文学賞を受賞している作家さんの連作集です。どの話もタイトルにある'主婦'が何らかのカタチで関わっていて、どの話も女性ならではの雰囲気が十分に発揮されています。話の流れでちょいちょい登場する謎の金髪の青年が作品の雰囲気をよりいい感じに演出してくれています。エロさもほどよく書かれていますが、何より切ない感じの描写が秀逸で、この雰囲気を味わうだけでも、さすがR18文学賞と納得できます。話のつながり方も見事で、ページを捲る手が止まらなくなるナイスな作品でした。2019/04/21
かなっぺ
146
短編集。他の話と繋がっていたりする。最近読んだ数冊の本が、ヒェーと言うくらい女の怖い部分が、浮き彫りになっていたので、初読み作家さんのこの本はそこまで驚くことはなかったけど、文章の書き方が好きだし、良かった!2018/02/06
ケンイチミズバ
122
美輪さんがキョンキョンに言ってた。50歳を超えても異性との触れあいは大切にしなさい、手を繋ぐくらいでもよいからと。夫がゲイであることを衝撃な事件で知るも、社長婦人として冷静にふるまい波風を納める。が、自分の存在は跡継ぎを残すため、愛はなかったのか混乱と失望に覆い尽くされてしまう。体の自由が利かなくなった夫のモノをつかんで奮い起たせようとしたり、若い男に口説かれる自分を見せつけたりするが、呆気なく夫は死んでしまう。気持ちはとてもわかるけれどめんどくさい。私も長くセックスレスだ。いや、もういいじゃないか。2018/02/26
じいじ
83
好きなR-18受賞作ということで、急遽読んでみた。連作短篇で微妙につながる6話、主人公は身近で平凡は女たち。全体の印象はユーモアもあり、哀感も漂わせて、そこそこに愉しめたが、初読み作家のせいもあって、今イチ一歩中へ踏み込めず馴染めなかった。私的には、夫とウマが合わないためなのか? 秘密のアルバイトに励む妻。子供なし夫婦の日常を描いた【まばたきスイッチ】が面白かった。これ一冊では、決断できない魅力も感じるので、別作品も読んでみたいと思っています。2022/02/04
えりこんぐ
76
森美樹さん初読み。タイトルでまず手に取ってしまう。主婦病だなんてどんな病? ここに出てくる女は心がカラカラに乾いている気がする。欲してるのは性的なもの。いかにもR-18作品という感じ。各短編に共通して出てくる金髪の男。彼の過去が描かれた最終章が切なくて良かった。もう少し追いかけたい作家さん。2019/06/24