出版社内容情報
その夜、親友が湖で命を落とした。二十二年前に高校で組んだバンドのメンバーが集まった宴での出来事だった。生徒会長の信明、副会長だった昌子、元バスケ部の壮介、吹奏楽部の君香。彼らは当時、スターのように輝いて見えた。歳月を行き来しつつ語られる、恋、別れ、喪失。そして秘密。人生を歩む道程であなたが味わう喜怒哀楽、そのすべてがここにある。作家としての成熟を表す、記念碑的長篇小説。
内容説明
その夜、親友が湖で命を落とした。二十二年前に高校で組んだバンドのメンバーが集まった宴での出来事だった。生徒会長の信明、副会長だった昌子、元バスケ部の壮介、吹奏楽部の君香。彼らは当時、スターのように輝いて見えた。歳月を行き来しつつ語られる、恋、別れ、喪失。そして秘密。人生を歩む道程であなたが味わう喜怒哀楽、そのすべてがここにある。作家としての成熟を表す、記念碑的長篇小説。
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
1968(昭和43)年、千葉県生れ。2006(平成18)年「裏へ走り蹴り込め」でオール讀物新人賞を受賞。’08年、『ROCKER』でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目けんこと
49
何かしらの「後悔」を抱え生きているからこそ、ビター感のある本書に入り込めた気がする。2022/05/16
カブ
44
何もかもが楽しかった高校時代。勉強、部活、生徒会そしてバンド。仲良しのバンド仲間の5人の関係性を丁寧に描き、あの時違う道を辿れば今の自分はどうなっていたのか、考えても仕方ないけど後悔に似た想いがよぎる。そんな彼らは今40歳である。2021/06/25
エドワード
42
人生の深さを感じる。高校3年生の時にバンドを組んだ仲間たちの、18歳から40歳までの軌跡。学校一の美男美女、辰巳壮介と小出君香。生徒会長と副会長、榊信明と萩原昌子。そしてギターとヴォーカル担当の野本了治は、至って平凡、真面目な男だ。人妻に誘惑されたり、つきあった女性が彼の勤める学校の生徒の母親だったり、女難の相あり?了治からはスターに見えた仲間たちも、くっついたり離れたり、先のことはわからない。壮介がボート事故で死ぬ。悲しいけれど、「あの高3のバンドの時に戻りたいね。」だけは永遠の真実だ。また会おうな。2024/06/01
Roko
38
了治のような思いを抱えた人は、世の中にはきっと大勢いるんだろうな。そんなに自分を卑下することないのに、自己評価が不必要に低いのって何故なんだろう?できのいい兄と比較してきたから?カッコいい友達と比較して?そんな必要ないのにね。人間の悩みって、他人からみたら「どこが?」ってことがよくあるんだけど、本人にとっては深刻なことだから、誰にも相談できなくてひとりで悩み続けてしまうのよね。了治の悩みはいつか解決していくのかな?歳を取ったら少し考え方が変わっていくのかな?とにかく、壮介の分も幸せに生きて欲しいな。2023/08/06
みこ
37
誠実だが自己評価の低い男・野本了治の18歳から40歳までを時系列をシャッフルしながら描く。少なくともバッドエンドではないが果たしてハッピーエンドなんだろうかとも思ってしまう不思議な読後感。少なくとも彼がヒーローと感じていた彼の周りの人々の仮面は剥がれてしまった感はある。でもそれによって彼と周りの友人たちが22年かけてようやく同じスタートラインに立てたのは良い終わり方なのかも。単に過去の回想と現在を行き来するのではなく、これだけごっちゃに時間が飛ぶのに一本の話としてしっかり筋が通っているのはすごい技量だ。2021/07/23