内容説明
あなたは第二次大戦について、何を知っていますか。両腕を失った学生、戦火の中で立ち尽くす少女、子を探す父。壮絶な記憶は、今、ひっそりと忘れ去られようとしています。あの時、戦地で、そして内地で、日本人は何を経験し、どう生き延びたのか。全国各地から、語り継がれるべき体験者の声が寄せられました。これは、教科書には書かれることのない、一般市民たちの真実の記録です。
目次
1 空襲・疎開
2 戦闘・死
3 敗走・漂流
4 抑留・逃走
5 従軍・志願・動員
6 聖戦・母と子
7 ヒロシマ・ナガサキ
8 八月十五日・飢え
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二戸・カルピンチョ
18
第二次世界大戦では三百万人の日本人が死んだ。一番死亡者数が多いのはソ連だ。戦争で何より語らなければならないのは、勝ち負けや責任の所在よりも、一人一人の恐怖や怒りや涙や死や再生なのだろう。被爆国だから語らなければならない事もあるとしても、あの頃の日本が許されるわけでもない。同じ事柄を語るにしても、単位が違うとそのひとつひとつに胸が焦げ付く。2017/11/26
はづき
15
昭和59年刊行(文庫化は平成21年)らしい。本のなかでは30数年前の出来事として語られているので、記憶も語り口も明瞭。 こんな戦争体験者が、しばらく前には日本中にいて、国家に都合のいいイデオロギーではなく、実体験から戦争の悲惨さが個人の視点から重層的に語られきたんだろうな。本で語られる体験は、いまも世界で誰かの身の上に起きてるかもしれない話。 歴史に学び、国際紛争を解決する手段としては、武力の行使や威嚇は永久に放棄し続けてほしい。2015/07/16
ブゥりん
12
戦争を体験した方々のリアルなお話。ありきたりな感想だが、今こうして毎日平和に暮らせてることに、当たり前じゃないことに、感謝して、大事に日々を生きていかなければいけない。2017/03/25
かりん
2
4:いろんな立場のいろんな人が体験した戦争。「私はそんなに被害にあっていない方ですが…」という話が、地続きに考えられる分ずーんときて、他の体験の辛さへの繋ぎになる。しかし、想像だにしないようなことだらけ。2009/08/16
まさきち
1
昭和59年に出された本で,中で書いている人は40~60代の人たち.あれからざっくり30年としたら,もう語り継ぐ人がいなくなっているんだなというのが最初の感想.戦争反対という意図で過激に編集されたんだ!と,こういう本を毛嫌いしてしまいそうな人が増えたのが,昨今の悲しいところ.戦争なんて賛美するべきところのない状態,少なくとも巻き込まれる自分たちにとっては,反対することがふつうのことだと思えるのだけれども.「戦争も辞さない」なんていうことを軽々しく言える人は,こういう本を読まないよなぁ.2014/05/02