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新潮文庫
明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか

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  • サイズ 文庫判/ページ数 281p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101200613
  • NDC分類 779.5
  • Cコード C0121

内容説明

崩壊寸前のソ連で入手した三枚の写真。それは日本人が革命前のロシアに到達し、サーカス芸人として大活躍した証だった。手がかりはイシヤマ、タカシマ、シマダという名前だけ。その足跡を追いかけた著者が発見したのは、日露戦争、第一次大戦、ロシア革命、そしてスターリンの大粛清に翻弄された孤独な人々の姿だった。歴史の襞に埋もれた秘伝を掘り起こす本格ノンフィクション。

目次

第1章 日露戦争前のロシアに渡ったサーカス芸人(なぜ彼らは海を渡ったのか;ロシアで好評を博した日本人たち)
第2章 追跡、謎のヤマダサーカス(戦慄のハラキリショー;山根ハルコのロシア放浪記;極東サーカス―サーカスがつないだ日本とロシア;帰ってきたイシヤマ;ジャグラー、タカシマ伝説;戦争とサーカス)
第3章 サーカスと革命(山根ハルコの悲劇;アヴァンギャルドとタカシマ;イルクーツクのドクター・シマダ)
第4章 粛清されたサーカス芸人(ヤマサキ・キヨシの運命;ナロフォミンスクからの手紙;パントシ・シマダの秘密;究極のバランス芸)

著者等紹介

大島幹雄[オオシマミキオ]
1953(昭和28)年宮城県生れ。早稲田大学第一文学部露文科卒。サーカス・プロモーター。アフタークラウディカンパニー(ACC)勤務。海外からサーカスや道化師を招聘し、日本全国での興行をプロデュースするほか、石巻若宮丸漂流民の会事務局長、早稲田大学非常勤講師も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

96
1910年代から1930年代にかけて旧ソ連(ロシア)に渡り公演していた日本人のサーカス芸人の足跡をたどるノンフィクション。取材のきっかけは、「イシヤマ」「タカシマ」「シマダ」のサーカス芸人が写った3枚の写真。いったい、彼らはどこから来てどこに消えたのか。そこに歴史に翻弄された人間の姿をみる。いろいろな人が登場するが、最も強烈な印象を残すのが、1939年のノモンハン事件の数年前に極刑に処されたヤマサキ・キヨシである。→2021/10/13

p-man

16
数年前、ロシアサーカスを見る機会があって曲馬・ピエロ・綱渡り・空中ブランコなどを生で見て、とても興奮した。そのロシアに幕末から明治期に渡り活躍した日本人サーカス芸人が大勢いた事実に驚いた。そして戦争・革命・粛正の波に飲まれて行った。その足跡を丹念に追いかけた非常に興味深いノンフィクションだった。ちなみに、木下サーカスの起こりなんかにも触れている。2018/09/01

tsubomi

7
2016.02.23-03.15:明治時代に日本からロシアへ、ロシアから日本へたくさんのサーカス芸人が海を渡って交流し、各地を転々としながら公演していたということを初めて知り、驚くことばかり。子供のころに見た木下サーカスの歴史の一端も知ることができたし、ちょっと冒険心のある芸人はみんな大陸に渡って運試しをしたという事実にも現代の日本にはないおおらかさとしたたかさと奔放さを感じました。政治的にあるいは経済的に窮地に追い込まれ、翻弄された人も多いけれども彼らの自由な精神の羽ばたきが清々しく、読後感が爽やか。2016/03/15

tecchan

5
明治時代には多くのサーカス芸人が欧米で興業をうち喝采を浴びた。ロシアに渡り、そのまま日本に帰らなかったサーカス芸人、その後の戦争、革命、粛清という過酷な歴史の渦。明治日本人のたくましさ、そして、運命の悲しみ。30年に渡りその足跡を追った著者の渾身の作。2015/10/28

駄目男

5
日本ではサーカスと言わず軽業師といったのだろうか、既に幕末、明治初年には海外に興行に出ていたらしい。日本人の器用性がこの職業に向いていたのか特に露西亜では「ハラキリショー」などは熱狂的な歓迎を受けたとか。 しかしその後に起きる戦争、革命、スターリンの粛清など帰国しずに露国に残った者たちの試練などつぶさに検証していく様はノンフィクション作家の労多くしてそれほど報われないような失礼な感覚を宿してしまう。 この本の完成まで25年ほどかかっているそうだが、いやはや気が遠くなるほどの労力だ。2015/10/04

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