内容説明
依頼を受けること。そこに、理由などはいらない…。ヤクザの組長の家に生れた過去を持つ相良治郎は、血みどろの抗争を嫌悪しながら市民社会にもなじめず、探偵の道を選んだ。「探偵とは他人の心の中を旅する職業」と、静かにしかし熱く事件を追う。藤田宜永の送り出した新しいヒーローが渋谷の街に現れ潜んだ。この6編の事件簿は、まさに探偵小説の現在形と呼ばれるにふさわしい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MIKETOM
7
私立探偵が主人公(初期の藤田作品はこのパターンが多い)の全六編。依頼は様々。家出した女子高生の捜索依頼から、殺して埋めた女が掘り返してみたら消えていた、捜して欲しいってのまである。謎解き以前に既に犯人がわかってる作品もそこそこある。ただまあ、意外などんでん返しってのを核にしてる作品群ではない。哀しさ、苦しさ、辛さ、やりきれなさ、懐かしさ等々、おかしな謎の裏にある様々な人間模様が見どころ。藤田というと恋愛小説作家のイメージだが、それ以前はこういう作品を主に書いていた。こんな様に作風が変わる作家も珍しいかな。2024/08/18
はまちゃん
5
藤田宜永氏のハードボイルド短編集。ヤクザの家に生まれ、様々な職を経て私立探偵になった男 相良治郎を主人公に、様々な事件の理由に拘った6編の短編から成る。ヤクザの家に生まれた割には(生まれたから?)情に厚い探偵であり、なかなか魅力的だ。この手の小説に付き物のお色気も酒場もほとんどない。サクッと読めて、楽しめた。2023/03/08
ひろ
4
元組長の息子の探偵というキャラだったのでハードな展開かなと一人で想像してましたけど・・・ 好みかどうかは次作までとっておきます。2017/04/28
jolly
1
ハードボイルド書きましたって感じのすごく読みやすいやつでした。2017/08/06
ゆずぴ
1
下町のハードボイルド的な探偵物語。なんだかんだと元の家業のつてで事件を解決。あんまり重い話も無いし、スペクタクルでもないのでまったりと読むにはよいかも。ちょっと文章読みづらいせいか入りにくいのが難点。悪くは無かった。2013/09/07
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