内容説明
カレー事件の背後にあった複数の犯罪、鬼畜夫婦が詐取した高額の死亡保険金。だが、真由美は逮捕後も、完全黙秘のまま。難航する物証固め、捜査を支える専門医たちの知見。緊迫の公判が始まった―。事件の全容は解明されたのか。なぜカレー鍋に砒素を入れたのか?毒の魔力に取り憑かれた女の底知れぬ暗部とは。現役医師の著者が、小説でしか描けない真相に迫る医学捜査小説の金字塔。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
145
和歌山毒物カレー事件の裁判は終了している。状況証拠により死刑が求刑され確定。だが彼女は犯行動機を語らない。積み重ねられた状況証拠から彼女以外に犯人はないと結論がなされている。本作で採用している動機にも納得性がある。露見しにくい砒素という「毒」。そして生命保険の盲点。医師への袖の下。この3つを使い、人を巨額の金に変える錬金術を繰返した夫婦、特に妻は悪魔と言える。警察と検察の地道な捜査。沢井教授達の医学的見地からの洞察。専門用語も多く読みやすい作品ではないが引き込まれていく。欠如した罪の意識に唖然とした。2018/07/14
ぶち
108
下巻は事件の公判に費やされています。不特定の近隣住民を狙ったカレー事件の動機が一番知りたかったことなのです。現実の事件公判と同じように被告人は黙秘を続け、状況証拠だけで死刑となっています。なぜ、あのような凄惨な事件を引き起こしたのか? 金銭目当てではなく、なぜ無差別な殺人ができたのか? ここが解明されない限り、被害者も、事件を追った警察関係者も、協力した医療従事者も、そして家族の誰もが報われない気がしてきます。下巻を読んでも宙ぶらりんのままにされてしまったような気持になっています。2022/04/14
ehirano1
101
殆ど回顧録の様相が濃くなった下巻。参考文献には“井上尚英”の名が連発していることから、当該人物の回顧録なのではないかと思いました。退官までやれることをやり切った姿には感動しました。また、光山刑事からの手紙には当方も目頭が熱くなりました。沢井教授(≒井上尚英教授)と光山刑事、本当に素晴らしかったです。そして、お疲れさまでした。2020/06/14
ehirano1
85
『医学研究の最終的な存在意義は、社会貢献だろう。社会還元がなければ、研究は自己満足でしかない。これでよかったし、この先もこれでよいのだ』。同感ですが、この医学研究に基礎医学研究が含まれるのであれば、必ずしもそうとはいきません。基礎研究を怠っての医学研究の発展は有り得ませんし、ましてや社会貢献は望めません。現代は、短絡的思考が闊歩しており、医学研究の社会貢献のスキームと内在性理論を全く理解していない、理解しようとしていない風潮であることを日本人ノーベル賞受賞者が指摘しているのですが・・・。2021/07/20
ehirano1
83
「・・・小林は、九月に退院した後、十一月には、高度障害のため失効していた運転免許証を復活させるため、首や両腕、両手、膝の適性試験を受けて合格しています。高度障碍者が車を運転できるのですから、もう茶番ですよ」。全くですね。もう呆れてものも言えないとはこのことだと思います。そしてこう続きます「これは医学の敗北ですよ、と憤慨していた岡田講師の言葉を思いだす」。医学どころか、科学自体の敗北であり、ひいては社会の敗北ですらあると思いました。2021/01/09
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