新潮文庫<br> 空の果てまで

新潮文庫
空の果てまで

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  • サイズ 文庫判/ページ数 306p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101188027
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

桜もち 太郎

5
とにかく陰鬱で尖っている。昭和33年から主人公の女性・久緒の人生を逆算していく。「憎悪とは自分のなかの輝かしい核のようなものであり、世間に対する唯一の武器」と、幼い頃から歪んだ精神を宿している。「私のすぐそばに存在する者は、私は絶対に許さない」と、善には悪を持って報いていく久緒。空襲により夫と息子を死に追いやり、善への復讐のために人の子をさらう。その子供の精神を奇形に育てようとする久緒。徹底した魂の暗部を描き出す作者、そして久緒の心はどこに向かっていくのだろうか。2015/07/25

y_e_d

0
言葉にならないと暗い感情を、このように描写できる感受性、言葉に変換する才能、こんな作家がいたのかと感銘を受けた。2017/01/12

かりん

0
4:《黒い水のような「心の暗部」。》店長セレクトの重め小説が並ぶバルの図書コーナー下段から。この本に特に惹かれたのは、「女の恐るべき心の暗部を描く」というあらすじと、雰囲気ある表紙。好きな画家のひとり・麻田浩さんでした(後で気付く)。「恐るべき心の暗部」は思ったよりも静かに、でも拭いようもなく主人公の久緒に根付いている印象。しかも、突っ走るような衝動ではない分、たちが悪いというかなんというか。どろどろというよりも、とめどなくあふれる黒い水のような憎悪を燃やしながら、まだまだ日々は続くのでしょう。2014/09/07

なおぱんだ

0
ある意味恐ろしい小説です。恐怖というよりも畏怖という言葉がふさわしい作品。戦争という狂気の時代を背景に、他人に対する憎悪をむき出しにして生きる女性の病的なまでの行動は、通常の理解の範囲を越えています。けれども、その意思に従わざるを得なかった周囲の人間の運命は、いったい何によって救われるのか。結末で明らかになる彼女が抱える秘密は、社会的に決して許されるべきものではありませんが、その秘密を死ぬまで心の奥に抱え込んでいくのが、彼女がこの世に存在する意義でもあります。2013/12/14

AZ

0
赫かしい憎悪を燃やし尽くしてもなお、どこへも辿り着くことはなく、意味もなく積み重なった過去とともに、茫漠とした空が広がっていくような、虚しさ。2022/01/05

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