出版社内容情報
田辺 聖子[タナベ セイコ]
著・文・その他
内容説明
あなたとめぐり合うことができて、よかった。同じ時間を過ごすことができて、よかった。今ではすべてがもう夢のように思われるけれど…。心の奥にそっとしまわれた、甘苦い恋の記憶を、柔らかに描いた12篇。恋の温もりと儚さ、男の可愛げと女の優しさを、こまやかな言葉の網で掬いあげ、世代を超えて心に沁みわたる、田辺聖子の恋愛小説。そのエッセンスが詰まった、珠玉の作品集。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
142
40年前、女たちはこうだったか。25でお肌の曲がり角になり、高校でたら働いて旦那さん候補を探す。そしてとても近い人に男を取られちゃったりする15の短編たち。タイトルが秀悦だね。これがココアでなくジャスミンティならやな女と思うし、コーヒーならいかにもって感じるかも。数編の女たちはとても勇ましいが、すぐそばの女たちを信じられないなんて息が詰まるね。女性作家の作品をあまり読めずにきたのは、こういう世界を見たくないからかな。とはいえ、田辺聖子さんの作り出す勇ましい女たちには共感も多々あった。2020/10/16
おしゃべりメガネ
139
実はあまり(ほとんど)読んだコトがない田辺さん作品です。既読は『ジョゼ~』だけですが、やっぱり読みやすい文章の作家さんだなと。様々な恋愛模様を綴る12編からなる短編集で、さらさらとストレスなく読んでいけます。なかにはちょっと切ない話もあり、ちょっとのんびり読んでると思わぬインパクトを受けるコトに。さすがにちょっと時代の古さは否定できませんが、今の時代にこういうおっとりとした作品を手にとるのも必要かなと思います。田辺さんの綴る女性の生き方、考え方はなかなか魅力的なので、他の作品も機会をみて読んでみたいなと。2022/01/21
kaizen@名古屋de朝活読書会
128
解説 神津カンナ。 下のものの面倒見がいいとのこと。 あわ踊り「かもか連」 「コーヒーほど重苦しくなく、ミルクほど淡泊ではなく、それはまさにココア色である。」 短編集。エープリルフールがよかった。2013/05/05
ふじさん
108
「エープリルフール」は、先祖代々の名前を襲名する慣わしが残る家柄のちょつとだめな男を愛する女の話、なにか微笑ましい。「ひなげしの家」は、一族からはみだし者と嫌われる叔母と、叔母のヒモみたいな生活をしている叔父の物語。周りからどう思われようと関係なく自分の生き方を貫いた二人、文句なしにかっこいい。男女の恋の温もりと儚さ、男の頼りげない可愛さと女のひたむきな優しさを、ユーモアとペイソスを交えて描いた心に染みわたる田辺聖子の恋愛小説。読み応え十分の短編集。 2022/01/14
nico🐬波待ち中
106
若い頃の恋愛をふっと思い出すことがある。若さ故の向こう見ずな言動が蘇り赤面したり苦笑いしたり。一人まどろむ真夜中にホットココアを飲みながら物思いにふける、そんな夜がたまにはあってもいいものだ。そんなちょっぴりおセンチな気分にさせてくれる12編の恋愛話。十人十色、いや十二人十二色、恋は人の数だけ存在する、と改めてしみじみ…。お聖さんの大阪弁は何度読んでも柔らかくて可愛らしい。しんみりする切ない恋の話も優しく沁みて泣きそうになる。『エイプリルフール』『おそすぎますか?』『ひなげしの家』『怒りんぼ』が特に好き。2021/02/15
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