出版社内容情報
隆 慶一郎[リュウ ケイイチロウ]
著・文・その他
内容説明
常住坐臥、死と隣合せに生きる葉隠武士たち。佐賀鍋島藩の斎藤杢之助は、「死人」として生きる典型的な「葉隠」武士である。「死人」ゆえに奔放苛烈な「いくさ人」であり、島原の乱では、莫逆の友、中野求波と敵陣一番乗りを果たす。だが、鍋島藩を天領としたい老中松平信綱は、彼らの武功を抜駆けとみなし、鍋島藩弾圧を策す。杢之助ら葉隠武士三人衆の己の威信を賭けた闘いが始まった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
126
何度目かの再読です。「葉隠」という佐賀鍋島藩の武士の精神を時代小説にしたものです。鍋島藩のお家騒動と絡めて主人公たち武士の生きざまを生活感あふれる書き方でこのような小説にしては読みやすい感じがしました。佐伯さん描く主人公のようにはかっこよくなく無敵という感じではないのですが魅力ある主人公です。2018/07/24
にし
53
武士道とは何か知りたくて「葉隠」の教えが武士道に通ずると知りこの本を手にしました。生から考えるか死から考えるかで生き方はかなり違ってきます。武士とは常に戦に備え「死人」として生きる事。その覚悟を持った浪人、斉藤杢之助のお話です。「死ぬことと見つけたり」そのまっすぐな生き様をもう少し見せてもらおう。2013/12/10
馨
42
知人に薦められて。長いこと積読していましたがやっと読みました。 斎藤杢之助が超カッコイイです!無敵の強さ、冷静さ・・男の中の男で惚れます☆ 武士道って思っていた以上に極めているなぁとびっくりしました。毎朝、自分を1度死なせておいて生きるって精神が凄い。1度死んでるから冷静でいられるし死も平静に迎え入れることができるというのは納得。私も起き掛けに1度死をイメージするようにしてみようかなぁ・・・。 杢之助が我が娘に一人静の花を採って帰ってあげるシーンが一所懸命で可愛いです(笑)。2014/02/23
只三郎
41
鍋島藩、葉隠武士を描いた本作。 死ぬ気になってやれば、何でもできるというが、彼らにこの言葉は無用だ。 彼らは、生きながら死人として生き、藩主のために死ぬことが当たり前である人々である。 そんな彼らだからこそ、損得勘定も関係無く、清々しく生きているように感じる。 そんな彼らを、何となく羨ましく感じてしまう。2017/06/01
ロドリゲス
36
「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」という葉隠の精神を持つ佐賀鍋島藩、斎藤杢之助らの物語。 最良の行動ができる心境とは、自己を捨てたところ、すなわち自身が死んだ身であるという心境からの判断であり、そのような心境から得られる判断が、自分も含めた全体にとって最良の結果を生むところにある。 これは、現代社会においても通じる所があるだろう。しかし、行動出来ないだろうなぁ。 杢之助は「死人」として生きている為、下巻では死んでしまうのでは?とヤキモキしてます。 ★★★★★ 2018/05/04