内容説明
戦国末期、天下の傾奇者として知られる男がいた。派手な格好と異様な振る舞いで人を驚かすのを愉しむ男、名は前田慶次郎という。巨躯巨漢で、一度合戦になるや、朱色の長槍を振り回し、敵陣に一人斬り込んでいく剛毅ないくさ人であり、当代一流の風流人でもあった。そして何より、自由を愛するさすらい人でもあった。故あって、妻子を置き旅に出た男の奔放苛烈な生き様を描く時代長編。
著者等紹介
隆慶一郎[リュウケイイチロウ]
1923‐1989。東京生れ。東大文学部仏文科卒。在学中、辰野隆、小林秀雄に師事する。編集者を経て、大学で仏語教師を勤める。中央大学助教授を辞任後、本名・池田一朗名で脚本家として活躍。映画「にあんちゃん」の脚本でシナリオ作家協会賞受賞。’84年、『吉原御免状』で作家デビュー。’89年には『一夢庵風流記』で柴田錬三郎賞を受賞。時代小説界に一時代を画すが、わずか5年の作家活動で急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
215
隆慶一郎さんの作品は初読みです。今ではゲーム等で高い知名度を誇る前田慶次郎利益。天下無双の傾奇者としての豪快な印象が強かった。しかし、彼は一流の風流人であり、何よりその心の涼やかさと優しさで彼の印象が変わりました。読んでいて彼の生き様が爽快である。解説にもあるが隆慶一郎さんは本作で、一個の真の男、何より潔い日本男子を描いた。誰しも彼のように生きてみたい。しかし現実では彼のような潔い生き方は出来ない。皆が泥臭く毎日を生きている。本作を通じて潔い自由な生き方を体験できる。本作が愛される理由がそこにあると思う。2016/10/20
遥かなる想い
148
第二回柴田錬三郎賞受賞作。「天下のかぶき者」前田慶次郎を描いた小説。前田利家の妻、まつ などがでてきて意外に面白い。歴史的な縛りがないので、文もいきいきしている。2010/08/12
ken_sakura
99
物語の始まりが秀逸o(^_^)o哀しみを底に隠し、通して陽性で爽快、かぶき者前田慶次郎の物語♪( ´▽`)とても面白かった。幼き日の庄司甚右衛門(吉原御免状)が出てきたり、他の作品との仄かな関連も楽しい。「捨て童子 松平忠輝」の才兵衛同じく、脇役の忍者がイケてるのが、忍者好きにはたまらないψ(`∇´)ψそして、隆慶一郎の物語は器が違う、という感じ。2016/10/08
ポルトン
76
少年ジャンプに連載されてた「花の慶次」の原作にあたる小説。 信長の鶴の一声で父である利久が荒子城を追われその名跡を継ぐはずだった慶次郎も流浪の身になった。負け戦に好んで参戦していた事もあり彼が歴史の表舞台に出て活躍する事は殆どなかったので彼に関する書物は非常に少ない。 そんな中でも無類のいくさ人傾奇者としての彼の名は後世に知られている。取り分け秀吉に謁見した際の彼の態度はまさに傾奇者そのものであったようだ。 歴史の影に埋もれた前田慶次郎にスポットを当てた名作! 男惚れする男の物語!2018/05/06
たいぱぱ
73
めちゃくちゃ面白い!!泣いちゃうくらいカッコいい!!ほんの少しだけ読んだ漫画『花の慶次』で知ってはいた前田慶次郎は想像の遥か上をいく漢の中の漢だった!子供が産まれる前にこの作品を読んでいたら、息子の名前は「慶次郎」になっていたであろう。長男でも鈴木イチローもいるしね!具体的にどういう生き方をしたのか知り驚きの連続だった。まさか朝鮮にまで渡っていたとは…。直江兼続と上杉景勝の漢ぶりは更に上がり、前田利家と松の見方ががらりと変わった。慶次郎になりたい。心の炎が消えないので、取り敢えず野生の馬を探しに行きます。2024/09/30




