出版社内容情報
鼬族と文房具の戦闘による世界の終わり――。宇宙と歴史のすべてを呑み込んだ驚異の文学、鬼才が放つ、世紀末への戦慄のメッセージ。
内容説明
鼬族の惑星クォールの刑紀999年6月3日、国籍不明の2基の核弾頭ミサイルによって国際都市ククモが攻撃され、翌4日、無数の小型単座戦闘艇に乗ったオオカマキリを従えた文房具の殺戮部隊が天空から飛来した。それはジャコウネコのスリカタ姉妹の大予言どおりの出来事だった―。宇宙と歴史のすべてを呑み込んだ超虚構の黙示録的世界。鬼才が放つ世紀末への戦慄のメッセージ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
66
紹介していただいた本。ゲームをプレイ中に初遭遇の敵を相手に無双していたら途中で変身や合体をされて初見殺しを喰らった事ありませんか?私はあります。そんな心境を味わえた物語だった。簡潔に書けば、文房具と鼬の戦争モノ。一つ一つの内容だけを見たら難解ではない。ただし、この内容が続くのか!?と読み始めて直ぐに唖然とした。付いてこられる人だけ付いてくれば良い、という著者からのメッセージを終始意識させた事からも、実験的小説というカテゴリが納得の内容だった。文房具の名称だからページを捲れた。人名なら無理だった。 2018/03/26
saga
52
『虚人たち』から段落落としと句読点極力排除という虚・構文で作品を作っていく著者。なかなか慣れない。全編で人物、時空間が入り乱れていることも、それに拍車をかける。第一章は狂気の文具船乗組員の紹介。第二章で鼬族の約千年に亘る歴史の叙述。この鼬族史は、流刑地・惑星クォールで、地球の世界史、科学史、文芸史の偉人、変人、独裁者などのパロディをもって文明を発達させ、果ては核爆弾による自滅を描く。第三章では、鼬族と文房具との闘いと、どさくさに紛れて著者の日常と不満がぶつけられてくる。長かった~、疲れた~2024/06/18
さっとる◎
50
世紀のとんでも本。極限まで抑えられた改行と句読点で迫りくる活字の宇宙に放り込まれ半死半生だ。自己の存在意義を問い続けて狂った文房具共と連綿と続く鼬千年の歴史が厚さ二センチ弱の文庫本から溢れ出し奏でる壮大なスペースオペラ。これ以上ない虚構でありながらマクロな異空間に身を委ねいつしか思うのは我が人類の一生懸命で愚かな歴史とそこに生き自己を誇示し主張し死んでいった個。マクロはミクロ。筒井康隆が創り出した出鱈目でリアルな虚構の宇宙を駆け抜けた文房具と鼬の生と死の切実さ哀愁にどうしようもなく胸が張り裂けそうな読後。2015/12/09
かえで
46
気の狂った文房具と鼬の戦争。「宇宙船内の文房具」「惑星クォールにおける鼬の歴史」(人類史の壮大なパロディ)「文房具と鼬の交戦」の3章で構成されている。相当な実験作で、途中に過度なメタがあり物語が完全に破綻したりする。かなり狂ってる作品。完全に賛否が真っ二つになったのも頷ける。物語全体が虚構でありながら、それでいて人類のリアルな問題を描いていたりして…みたいな。はっきり言って読みづらいのでおすすめはしません。でも読んで欲しいなあ…という気持ちもする。そんな作品。最後の1ページは読んでいて奮えるほど良かった。2015/08/01
メタボン
39
☆☆☆☆★ 特異で狂った文房具たちのキャラクターが続々と登場する第一章、凄惨な鼬たちの歴史が語られる第二章、そして次元や場所を超越してカオスの中に文房具と鼬たちとの戦いが繰り広げられる第三章。非常に読むのに難儀したが、読了したあとの充実感がすごかった。作者自身が登場するメタ小説の部分について、その実験性は認めるものの、この壮大な世界観に対しては、むしろ蛇足な印象があり、★一つ減じた。第二章の世界史のパロディーについて、私自身の知識がもっとあれば、更に楽しめたと思う。2020/01/04