出版社内容情報
東北の一寒村が突如日本から分離独立した。大国日本の問題を鋭く撃つおかしくも感動的な新国家を言葉の魅力を満載して描く大作。日本SF大賞、読売文学賞受賞作。
吉里吉里国の独立に日本国政府は仰天、自衛隊が出動し、国民の眼はテレビに釘付けとなった。防衛同好会が陸と空から不法侵入者を監視する吉里吉里国では、木炭バスを改造した「国会議事堂車」が国内を巡回、人々は吉里吉里語を話し、経済は金本位制にして完全な自給自足体制。独立を認めない日本国政府の妨害に対し、彼らは奇想天外な切札を駆使して次々に難局を切り抜けていく。
内容説明
吉里吉里国の独立に日本国政府は仰天、自衛隊が出動し、国民の眼はテレビに釘付けとなった。防衛同好会が陸と空から不法侵入者を監視する吉里吉里国では、木炭バスを改造した「国会議事堂車」が国内を巡回、人々は吉里吉里語を話し、経済は金本位制にして完全な自給自足体制。独立を認めない日本国政府の妨害に対し、彼らは奇想天外な切札を駆使して次々に難局を切り抜けていく。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てち
92
上巻同様、実にくだらなくて面白い。中巻は吉里吉里国を媒介として自衛隊、憲法改正、医療等のあり方が書かれている。娯楽だけではなく、国家が抱えている問題について井上氏の考え方が書かれている作品である。エンタメ性と文学性の両者を兼ね備える傑作である。2020/08/08
優希
59
相変わらずくだらないのですが、その中には著者の考えている日本国家が抱えている問題が織り込まれているように思います。エンタメ文学の枠を超えた作品だと感じました。2021/02/01
ともくん
55
真面目なのだか、巫山戯ているのか分からない物語。 だが、不思議と惹き込まれてしまう。 吉里吉里語が、読みにくいのだが、癖になる。 下巻で、この物語がどういう、結末を迎えるのか非常に楽しみである。2020/06/04
saga
49
【古書】国会議事堂車が水上国際空港に到着し、大量の魚の変死を目撃するところから始まった中巻は、古橋の判決言渡し前には国外移住案件、その後は国境線での自衛隊との対峙と事件が続き、古橋がどさくさに紛れて花街に迷い込んだことから、ひょんな方向へ展開することになった。タックスヘイブン、日本の百姓への厳しいメッセージは、著者の問題提起である。古橋に訪れた春、そして吉里吉里国立病院での懲役労働の場面となり、吉里吉里国の周到な戦略が明らかになりつつ、本巻最後に日本国の諜報部員らしき影が……。2024/09/15
いちろく
47
国家として日本からの独立を目論む寒村を舞台にしたSF作品。上巻に続き下ネタをはじめとする阿呆なネタの数々で作品全体が緩い。それが、取り扱っているテーマが重厚であるはずなのに、手に取りやすい内容に繋がっている印象。それでも、ネタに依存せず1つの骨太な作品として確立している所が魅力的に映る。これまでの内容で、日本SF大賞をはじめとする数々の賞に選ばれているのも、読者の1人として十二分に納得出来ている。どの様に物語を〆るのか?下巻へ。2018/03/30