目次
枕ことば
擬声語
格助詞「が」の出世
ガとハの戦い
時制と体制
受身上手はいつからなのか
形容詞の味
自分定めと縄張りづくり
ナカマとヨソモノ
論より情け〔ほか〕
著者等紹介
井上ひさし[イノウエヒサシ]
1934‐2010。山形県生れ。上智大学文学部卒業。浅草フランス座で文芸部進行係を務めた後、「ひょっこりひょうたん島」の台本を共同執筆する。以後『道元の冒険』(岸田戯曲賞、芸術選奨新人賞)、『手鎖心中』(直木賞)、『吉里吉里人』(読売文学賞、日本SF大賞)、『腹鼓記』、『不忠臣蔵』(吉川英治文学賞)、『シャンハイムーン』(谷崎潤一郎賞)、『東京セブンローズ』(菊池寛賞)、『太鼓たたいて笛ふいて』(毎日芸術賞、鶴屋南北戯曲賞)など戯曲、小説、エッセイ等に幅広く活躍した。2004(平成16)年に文化功労者、’09年には日本藝術院賞恩賜賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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びんちゃんぽんだな本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
37
「日本語文法」をタイトルに掲げてはいるけれど、どちらかというと日本語にまつわる問題についての考察を織り込んだエッセイ集といった感じの一冊。もちろん文法についても書かれてはいるが、それが体系的でもないのに深く論じられたりして、文法が苦手な自分にはいささか難しい。そういう意味では文法の勉強に不向きで、すぐに役立つとも言いづらい。ただ、多彩な材料を駆使した話題の数々は、日本語の難しさや面白さの一端を感じさせ、何かしら得るものがあったような気にはさせてくれる。そんな感じで気負わず読んでいればいいのかなとも思う。2011/10/26
KAZOO
24
日本語文法について、身近な例を挙げての説明で非常に私にとっては役に立つ本だと思いました。何度目かの再読なのですが、いつ読んでも何か得るところがあり文章などについて反省するのですがすぐ忘れてしまいます。自分で文章などを書いていくべきなのでしょうね。2014/06/01
猫丸
19
たぶん再読だと思う。井上ひさし氏の博覧強記を楽しむ本。マルコフ過程まで登場するのには恐れ入る。ことば遣いは、当該個人の人生全体を反映する。何故かは知らねど僕は「なので」あるいは「で」が嫌い(若い頃の上原浩治が多用していた。僕はこの喋りをする人をデデ虫と称呼して嫌悪する)。「ら」抜きは、おしりが痒くなる。関東圏の若者の「違くて」には身の毛がよだつ。言語は変遷するものだから、いちいち文句をつけるのは野暮と承知だが、感覚は変えられない。人生をやり直せないように。万民共通の正しい言語など望むべくもない、と再確認。2018/08/23
ひじき
18
井上ひさしに戻ってくるとほっとする。小説も好きだが、彼の「日本人」にこだわる評論エッセイ(コメ論とか)も深くて鋭くて楽しい。本書も然り。学生時代の文法授業がもっとおもしろかったら「自分はもっとましな日本語の使い手になったのではあるまいか」との思いから「文法をおもしろく」が本書執筆の狙い。いやはや確かにおもしろい、めちゃくちゃたのしい、わかりやすい。実例が幅広いのもいい。たとえば擬態語を駆使した名作として「ゴルゴ13」、古典落語、源実朝(〜さけて散るかも)、宮沢賢治などが同等に扱われているのも愉快。 2017/02/28
太田青磁
15
文法書というかコトバに関する雑感という感じのエッセイです。井上ひさしさんは、本当にコトバが好きなんだなあと感じます。無理やり感漂う箇所もご愛嬌なのでしょう。音節、リズムは日本語の特徴でもあり意識したいなと感じました。漢字や送り仮名、ふりがなにも文体を感じますね。新聞記事や広告など硬軟取り混ぜた70年代の社会、風俗に触れられるのも面白いですね。2012/04/21