出版社内容情報
すべてを捨てて行き着く果てに、救いはあるのだろうか。生と死の狭間から浮き上がる、愛と人生の真実。心に光が差し込む傑作短編集。
現実に絶望し、道閉ざされたとき、人はどこを目指すのだろうか。すべてを捨てて行き着く果てに、救いはあるのだろうか。富士の樹海で出会った男の導き、命懸けで結ばれた相手へしたためた遺言、前世の縁を信じる女が囚われた黒い夢、一家心中で生き残った男の決意――。出口のない日々に閉じ込められた想いが、生と死の狭間で溶け出していく。すべての心に希望が灯る傑作短編集。
内容説明
現実に絶望し、道閉ざされたとき、人はどこを目指すのだろうか。すべてを捨てて行き着く果てに、救いはあるのだろうか。富士の樹海で出会った男の導き、命懸けで結ばれた相手へしたためた遺言、前世の縁を信じる女が囚われた黒い夢、一家心中で生き残った男の決意―。出口のない日々に閉じ込められた想いが、生と死の狭間で溶け出していく。すべての心に希望が灯る傑作短編集。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
510
死を物語の核に据えた短篇が7つ。三浦しをんの短篇は初めてだが、この人はじっくりと構想を積み上げて行く長編の方が、より本領を発揮できそうに思う。けっして短編が良くないという意味ではないのだけれど。ただ、ここにあるいずれの短篇も、何かを積み残したかのようなものが残ることも確かである。それ故にか、なんとなく終わったという感もまた拭えない。すなわち、読後に強い余韻が襲って来ないということが不満なのかもしれない。あるいは、それはそれぞれの作品の主題の構成が理詰めに過ぎるのでもあるだろうか。2024/09/07
HIRO1970
498
⭐️⭐️⭐️しをんさんの死にまつわる話の短編集でした。題材が題材なだけに慎重に軽々しく扱っておらず、かといって堅苦しさは全く感じさせずに非常に広範で複雑な題材を一話づつ全く違う形に仕上げて読ませてしまう著者の力量に何度も思わず唸りたくなりました。固定観念を取り払う訓練を相当しないとこれだけの柔軟で豊かな発想は出来ないだろうとひしひしと感じられました。しをんさんの本はまだ既読わずか3冊ですが、今後益々ハマりそうな予感がしてきました。これは著者の力量の凄さがハッキリと感じられる作品でした。2014/11/20
Atsushi
386
人の「死」をテーマにした七話からなる短編集。テーマは重いが、読後感は充実していた。お気入りの作品は、二人の夫を愛して逝ってしまった「ウメおばあさん」を描いた「初盆の客」。駒子と夏生、人と人の縁なんてどこに転がっているのか分からないものだ。思わずニヤリとさせられてしまった。「遺言」も同じ男性として頷けることが多かった。2017/05/21
射手座の天使あきちゃん
360
変人キャラ満載のユーモア小説家「しをん」さんでもオヤジキャラ満載のエッセイスト「しをん」さんでもありませんでした(笑) ひたすらネクラで不気味な短編作家「しをん」さんでしたよ、まあテーマが【心中(死)】だから無理もないですけどね <(^_^; あっ、でも「新盆の客」は爽やかな感じで好きかな!2013/11/02
ミカママ
341
タイトルからもっと救いのある物語だと思って読み始めたのに・・・「心中」周辺の短編集でした。それもあって、読了に時間がかかってしまった。どれも救われないなぁ、もう読むのやめようかなぁ、と思った中ごろに出会った「君は夜」はかなり好きだった。時代物とリンクさせた恋愛物語。救われなさには変わりないんだけれども。角田光代さんの解説、かなり好きでした。これだけでも一遍になる。2014/09/15