内容説明
これからどうやって生きていこう?マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる苛酷な就職戦線。漫画大好き→漫画雑誌の編集者になれたら…。いざ、活動を始めてみると思いもよらぬ世間の荒波が次々と襲いかかってくる。連戦連敗、いまだ内定ゼロ。呑気な友人たち、ワケありの家族、年の離れた書道家との恋。格闘する青春の日々を妄想力全開で描く、才気あふれる小説デビュー作。
著者等紹介
三浦しをん[ミウラシオン]
1976(昭和51)年、東京生れ。早稲田大学第一文学部卒業。2000(平成12)年、書下ろし長篇小説『格闘する者に○』でデビュー。以後、『月魚』『白蛇島』などの小説を発表
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
502
三浦しをんのデビュー作。「ボイルドエッグズ」の村上達朗の強いすすめで、自身の就活を題材に書いたもの。2000年4月刊。ご本人は満足できるものではなかったらしいのだが、なかなかどうしてよくできていると思う。ことに就活にやや特殊な家庭環境を絡めたところがユニーク。そのことがプロットの単線化を避け、主人公像の造型に膨らみを持たせている。作中に『神去なあなあ日常』の予告編めいたものが登場するのもファンには嬉しい。また、巻頭には彼女が受けた出版社(実際は早川書房だったようだ)での課題作文まで掲載されている。2025/02/04
HIRO1970
429
⭐️⭐️⭐️しをんさんの本を何冊か読んで余りに琴線に触れる感触から気になり出し、これは最初から時系列を違えずにロックオンして残らず読む必要がありそうだぞと去年の浅田さんに続いて俄かに危機感を感じ始めまして、本書を手に取った次第です。僅か24才で書いた処女作との事ですが、やはり予感は的中しており瑞々しい感性があふれる素晴らしく読ませる作品で月並みですが何処から眺めてもとても初めての著作とは思えない作品でした。これからしをんさんの著作を楽しめる高い確率の発生が確信に至り、読書の神様?に深く感謝致しました。2015/03/11
ミカママ
403
しをんさんの作品はほぼ読んでると思っていたが、今さらながらのデビュー作。なんと完成されたデビュー作であることか。軽快な文章、人の孤独・哀しみ、そこから立ち上がっていく主人公。ファン必読の書です。2017/09/10
さてさて
394
『あくまで小説、フィクションです』と自伝ではないと語る三浦さん。でも、就職活動では出版社への就職を目指されていたのは事実であり、虚構と現実の線引きが微妙なこの作品。K談社、集A社、S学館など、伏せ字の意味をなさない活動先での面接シーンを含め、誰もが通る就職活動というビッグイベントをリアルに描写したこの作品。“三浦しをんさんは、もう最初から三浦しをんさんだった”、ということを実感させられる”三浦しをんさんらしさ”ど真ん中!のこの作品。若さ故の圧倒的な推進力でぐりぐり読ませる三浦節炸裂しまくりの作品でした。 2021/04/06
Atsushi
358
著者のデビュー作。当時24歳にしてこれだけの作品を創作するとは、心から脱帽。就活を軸に物語は進むが、主人公可南子を取り巻く個性的な登場人物が何とも魅力的。特に義弟の「旅人」。何にも考えていないようで、しっかりと周りの空気を読み、将来を見据える凛とした姿が良かった。面接シーンでは、特にやりたいこともなかったが、「就職せねば」の一心で面接に臨んだ若きころの自分を思い出した。可南子は就活を続けるのだろうか。良き出会いがありますように。ニキちゃんも大学院でがんばれ。2017/05/14