内容説明
最後まで現場取材に徹し、戦火のイラクで凶弾に倒れたフリージャーナリストの素顔がここにある。駆け出しの映像カメラマンだったベトナム戦争で、内乱の続くカンボジアで、独裁国家ミャンマーで、その目は何を見てきたのか。戦場にあっても人の温かさを信じ、荒野に咲く花を愛でた男が、戦地の人々や現地の協力者との交流を活き活きと綴った取材交友記。
目次
ベトナム(スリーファイブとライター;クリスマス爆撃の中で ほか)
カンボジア・ラオス(アンコール・ワットの骸骨男;サンコンと革命)
ミャンマー(ビルマ)(二人の白タク運転手;近藤紘一テーゼとホワイトマン ほか)
タイ(インパール作戦最後の生き残り;バンサオ(娼館)の娘たち)
マダガスカル(アフリカの中のアジア)
著者等紹介
橋田信介[ハシダシンスケ]
1942(昭和17)年、山口県宇部市生れ。’70年に法政大学を卒業後、日本電波ニュース社に入社し、以後、ベトナム戦争中のハノイに特派員として駐在するなど、東南アジアを中心にニュース・カメラマンとして活躍。バンコク支局長、ローマ支局長などを歴任した。’89年にフリーランスとなり、拠点をバンコクに移して、主にアジアの戦争をテーマとした報道番組を制作。さらに世界の戦場、内乱、動乱の地での取材活動も活発につづける。2004(平成16)年5月、戦火と混乱のつづくイラク国内を取材中に襲撃を受け、凶弾に倒れた
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感想・レビュー
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さきん
26
2004年にイラクで倒れた戦場ジャーナリストのエッセイ。自分の話というより、取材先で出会った友人についての話が多くて読んでて楽しかった。ポル・ポトやベトナム戦争、マダガスカル、さまざまな地域における紛争や社会問題の低層には、エリートと庶民との、支配層と被支配層との関係が疎遠な所にあるように感じる。事はもっと複雑で単純だろうが。2017/08/15
スー
15
この本は橋田さんが取材したベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、マダガスカルで出会った人達との交流を中心にして当時の国の雰囲気や匂いが感じられるし章の最後にはその人のその後が書いてあり橋田さんの人柄も感じられ楽しみながら読めました。農民達にとって主義等は関係なく日々の生活が大事でそれを妨害され迷惑なだけでした。終戦の日も祝う事もなかったそうです。タイでは貧しくて親が娘を売る、娘が自ら申し出る。意外と女性達はあっけらかんとしていてビックリでした。2018/09/02
後藤良平
2
イラクで橋田さんが襲撃により亡くなった記憶は無い。中国人の宗先生が、植民地を中国では殖の字を使うと語るのが出てくる。殖とはある国の男がある国に入殖してその国の女と結婚し子供を殖やし、その子孫がその国の支配者階級に鳴ことを指すと。タイにおける中国系タイ人のようなもの。中国は東南アジアで殖民に成功したと言われている。恐るべし。戦場を忘れられないカメラマンの話が出てきて、橋田さんもその類かと思ったが、独裁国から知人を逃したり、ビルマの残留日本兵が恩給を貰えるように動き回ったりの働きに感動した。年間No.13譲受2022/02/05
コーキ
0
読んで良かった!最近のノンフィクション作ではベストです。特にカンボジアに乗り込んだところでは、はらはらドキドキしました。戦争や報道に関する考察も深く、尊敬すべきジャーナリストの一人です。文章とは逆の視点ですが、もしも誰かに地球は四角だと言われたら、その意見を一笑にふし、まともに取り合うことなく嘲ってもいいのでしょうか。懐疑主義ではありませんが、真剣にその馬鹿げた意見を聞くことを怠ってもいいのでしょうか。とにかく、走馬看花、いい言葉です!2014/09/02
にやり2世
0
現地の人との関わり方が深いなぁ。2014/05/30
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