内容説明
番頭の三郎の裏切りに遭い、店は人手に渡るが、長年の思いが叶い文治と結婚した志津代は、ふじ乃と弟の新太郎と共に旭川で新しい生活を始める。3人の子どもにも恵まれた志津代の気掛かりは、奔放な女である母のふじ乃と、不幸な生い立ちを未だに引きずる弟、新太郎の行く末だった…。罪を犯さずには生きてゆけない人間の真実を鮮やかに描く、愛と感動の長編ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
有
49
夫婦でも親子でも、近過ぎると息苦しい時がある。ふじ乃と志津代の関係性は、父と私の関係性に似ていた。自分が正しくあることにこだわりすぎると、許すことができなくなる。生きる者すべて何かしら罪を抱えている。正しく生きることも大事だろうが、許すことこそ何より必要なのかもしれないと思った。2022/08/12
kawa
37
大正時代、北海道で暮らす縁ある幾組かの夫婦の物語。人間はあやまちを犯さずには、生きていけない。そして、その生き方が周囲の人々を幸福にしたり、不幸にしたりする。正に「嵐吹く時」を避けられない人生。そこをしのぎながら人々は生きていく。結末には涙。2021/06/09
ろこぽん
7
三浦綾子さんの小説ははずれなし。これもめちゃくちゃ面白かった。 人間は罪を犯す生き物。その罪をどう償うか。三浦綾子さんの小説にはほぼこのテーマがある。とても大きなテーマを三浦綾子さんはしっかりと書いて伝えてくれる。 ラストにまた大きな出来事が。。。つらかった。2024/01/18
いか
5
女性の嫌らしい部分がよく描かれてるなーと思った。小説中、登場人物は様々な罪を犯すが、そもそも人間は罪を犯す生き物なので、その罪をどう許していくのかが問題なのかなとぼんやり思った。また今の時代にはあまり見られない、親戚や町の人との濃い繋がりが新鮮で、時にもどかしくも羨ましいなとも思った。2015/07/04
納豆
4
「人間は弱くて、罪を犯してしまうもの」また、「それをどう赦してどう生きていくか」という「氷点」と同様のテーマがあって、考えさせられた。随所にはっとさせられるセリフがあった。2017/06/18