感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
83
道ありき3部作の最終巻になります。自伝というより、信仰について証したとも言うべきでしょう。人として生きる上で、大切なことを語りながら、キリストの愛に導かれるという希望がつづられていました。信仰を持つことで自分の罪や醜さを嫌というほど見ることになりますが、そこに正しい光を灯して下さるのがイエス・キリストであったに違いありません。正しい道を照らすキリストがいるからこそ、信じて歩むことができる信仰を持てるのだと思います。信仰はいかに弱い心を癒すか、改めて気付きました。2016/06/04
molysk
68
三部作の最終巻は、前の二巻が自伝的なものであったのに対して、キリスト教への信仰を説くものである。人間がいかに罪深く、弱く、愛がなく、不自由で、虚しい存在であるか。このような人間にも、神を知るときに新しい生き方が与えられる。神とは何か、信ずるとは何か。三浦は自分の訴えが、万人に届くものではないことも知っている。だが、これからの人生で絶望に打ちひしがれたときに、救いとなる言葉を知っていれば、どれだけの人が救われることか。三浦は平易かつ力強い言葉で、私たちに語りかける。光あるうちに光の中を歩もうではないか。2022/03/27
ach¡
47
聖書は読解できなくても三浦作品でその言わんとすることは嵩める。嫌でも人間の(自身の)罪深さ、醜さ、弱さを付きつけられ、信仰に光を感じる。何かあれば「なぜ自分だけ」と思う心の貧しさに気づき、謙虚でありたいと思いながらも傲慢さが出る未熟さを認められるようになる。そこから更に踏み込んで説いたのが本作である。哲学的、知識的に神を認めることはできても、その存在を信じるというのは中々難しい。移ろいやすく間違いやすい人間の心に、何時もブレずに正しき道を照らす炎を灯すのが信仰なら、私も神の存在を信じられるようになりたい。2015/08/08
Gotoran
46
三浦綾子の自叙伝、『道ありき』、『この土の器をも』に続く第三部。副題が”信仰入門篇”とある通り、中味は、神とは、愛とは、罪とは、死とは何か?、人間として、かけがえのない命を生きていくために大切なことは何かを問う、神とキリストとの人間の関係、キリスト復活と聖書、教会、 いかに祈るべきかと、キリスト教について語られている。喜びのときもともに光り輝く顔を上げてあなたの生涯をゆたかに生きてみませんか、と結ばれている。一読の価値あり。2025/09/06
piro
37
『道ありき』三部作の第三部。「信仰入門編」とされている通り、三浦さんのキリスト教への熱い想いが綴られます。「信仰勧誘編」(笑)とも言える一冊でした。人間の弱さについて述べられる「人間この弱き者」では、自分の弱さを自覚しながらも、更に心の痛みを感じます。個人的にはキリスト教を信仰している訳ではありませんが、多くの方々の篤い思いにはただただ感嘆します。大きな病を信仰の力で乗り越えた三浦さんの想いもまた熱く尊い。2025/05/14




