新潮文庫
秘事・半所有者

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  • サイズ 文庫判/ページ数 375p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101161044
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「幸福な結婚」に隠された秘密とは。三村清太郎と麻子は、大学で知り合った、昭和11年生まれの同級生カップル。夫は一流の商社で順調に出世し、妻は聡明で社交的な、周囲も羨む睦まじい夫婦だ。だが、この結婚にはある事故が介在していた。周到に紡がれた夫婦の日常の結晶(『秘事』)。亡くなった妻への夫の究極の愛を描き、川端康成文学賞を受賞した傑作短編『半所有者』を併録。

著者等紹介

河野多恵子[コウノタエコ]
1926(大正15)年、大阪生れ。大阪府女専(大阪女子大学)卒。「文学者」同人になり、’52(昭和27)年、上京。’61年「幼児狩り」で新潮社同人雑誌賞、’63年「蟹」で芥川賞を受賞。著者に、『不意の声』『谷崎文学と肯定の欲望』(共に読売文学賞)、『みいら採り猟奇譚』(野間文芸賞)、『後日の話』(毎日芸術賞、伊藤整賞)など。日本芸術院会員。コロンビア大学客員研究員
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

YM

71
河野多恵子「秘事」これだけ見るとどんな事が秘密にされてるんだと、変態的な妄想をした私が馬鹿でした。何てことはない、大恋愛小説でした。主人公が妻にずっとずっと伝えたくて、でも伝えることのできない思い。最後の最後まで取っておいたこの気持ち。2人の人生を丁寧に辿っていけば、十分に伝わっていると思います。しかし妻は、少しくらい疑っているのではないか、どうすれば信じてもらえるだろうかという答えの出ない葛藤。その女々しさにとても共感するのです。僕の頭をぱかっとあけて、覗いてみてはくれないだろうかと。2015/02/02

たぬ

24
☆4 タイトルからついドロドロ展開を連想してしまったけど読んでみればさっぱりした友達同士みたいな夫婦。夫は順調に出世街道を進み妻は天真爛漫な専業主婦。息子二人もいい子に育って絵に描いたような幸せ一家なのです。麻子さんは病気してなかったらとてもかわいいおばあさんになっていただろうな。併録の短編は触れちゃいけない人間の欲の部分が怖い。2022/06/09

Ichiro Toda

4
小説らしいなあというのが率直な感想で、淡々と物語が進んでいき最後にらしく終わる。表面上は良い人生なのだろうが、途中で時が錯綜し違和感が生まれる。冗長な気もしないわけではなかったがこの長さは逆に題名の意味を考えるのに必要な物なのかなとも思ったりする。半所有者はネクロフィリアを扱った短編だが、残念なことに少し古くさい雰囲気が漂ってしまう。所有という概念を深く掘り下げている部分は他の同じ題材とは異なるが、短編なのもあり物語の強度が抑えられているように思った。2篇とも題名の付け方が率直で好みだった。2015/11/26

龍國竣/リュウゴク

3
谷崎潤一郎への敬愛を口にする作者の辿り着いた到達点。「秘事」は河野文学における「細雪」だろう。谷崎が姉妹で描いたものを、河野は妻とその息子たちの配偶者で綴る。そして、妻の同窓生である女性たち。これは女性による女性讚美を書いたある幸福の物語である。2013/06/15

しいくん

3
不思議な味わいの小説。読んでいる最中は退屈で退屈で,幾度も後悔しましたが,読後,何とも言えない「しみじみ感」が湧いてきます。これは偏に意外性に満ちた結末のせいでしょう。順風満帆,互いを良き伴侶と認め,子にも仕事にも恵まれた夫婦の半生を描いた小説で,途中,何の波乱も起きません。「幸せな夫婦の来し方を淡々と描いただけの小説か」とすっかり油断したところに先の結末。「えっ,そう展開しちゃうの?」とミステリ以外の小説でこんなに慌てたのは久しぶりでした。「秘事」という書名は疑問。ちっとも秘事ではなく,肩透かしでした。2013/06/20

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