内容説明
新米機長、村井知洋は頭を抱えた。ミスひとつで資格を剥奪されてしまう査察飛行、その担当が氏原政信キャプテンに決定したからだ。氏原は鋭いチェックで皆から恐れられる存在だった。そして、村井の最も長い一日が、幕を開ける。目的地、雪のニューヨークは遙か彼方、前途には様々なトラブルが待ち受けていた。操縦席、そしてパイロットの真実を描き切った、内田幹樹の最高傑作。
著者等紹介
内田幹樹[ウチダモトキ]
1940‐2006。東京都生れ。1965(昭和40)年、航空会社入社。ボーイング747‐400などの機長として国内線、国際線に乗務。その間十数年にわたり、操縦教官としてライン・パイロットの教育にあたった。’97(平成9)年、処女長編小説『パイロット・イン・コマンド』でサントリーミステリー大賞優秀作品賞受賞。プロのパイロットが書いた本格航空小説として高い評価を受けた。小説の一方、その経験を生かしたエッセイも手がけ、『機長からアナウンス』『機長からアナウンス第2便』は、ともにベストセラーとなった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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piro
31
再読。個人的に内田さんの航空小説の最高傑作だと思う一作です。機長の適性を見極める為定期的に行われる査察飛行。新米機長の村井にとって、特に厳しいと言う噂があるチェッカー氏原による査察は相当に神経をすり減らすものだった様です。他の内田作品の様な犯罪も事故も起こらないストーリーながら、査察飛行の緊張感、そして悪天候下での着陸の緊迫感がとてもリアルで引き込まれました。「機長は後ろを見て飛べ」単に技術的に上手いフライトではなく、乗客をいかに意識して飛ばすのか、それこそが真のプロフェッショナルの仕事なのでしょう。2020/05/11
roomy
22
初内田作品。著者が元パイロットだけあって描写が細かくて大きな事件は何も起きませんが臨場感すごかったです。「機長は後を見て飛べ」とは納得です。機長になっても定期的に厳しくチェックされてるとは知りませんでした。これなら安心して飛行機に乗れますね。かなり昔オーストラリア航空のコックピットをのぞいたことがありますがとても狭かったのを覚えています。2014/02/09
p.ntsk
18
まるで自分がコクピットに座っているかの様な臨場感。ほんのひと時パイロットになりきってフライト気分を味わってみるのもいいかも。新作がもう読めないのは本当に残念。2012/10/04
kaizen@名古屋de朝活読書会
15
機長の仕事がどういうものであるかがよくわかる話。 主人公と同乗者の2人の見方が分かるように書いているところがよい。 なぜ2人で操縦するのか、 なぜ、定期検査があるのか、 定期検査の内容はどういうものか、 などなど、乗客の知らないことが山盛り。 専門家として必要なことがよくわかる。 内田 幹樹の作品で一番親しみ易いかも。2012/09/07
ペトロトキシン
14
今回は物理的パニックは無し。でも、機長にとっては精神的パニックであったろうと思います。人の命を預かる職業だから、定期的に技術・判断力の確認は必要なのでしょうね。だけど、平常心で居られない状態のパイロットが操縦する飛行機に乗るのは何だか嫌だなぁ。乗客には査察飛行してる事は解らないんでしょうけど。言われてみれば、同じ命を預かる職業なのに医者には定期的な審査が無いのは不思議というか納得いかないです。それと、パイロットの食事環境というのは、本当にこんなに劣悪なんですか? 2012/04/05
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