新潮文庫<br> 夢の砦〈下〉

新潮文庫
夢の砦〈下〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 562p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784101158198
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

辰夫が編集する「パズラー」は成功をおさめ、編集室には同世代の才能ある人達が集まってくるようになった。そのうえ、目の上のコブだった“ゴム仮面”は会社を首になり、新しい雑誌の企画も持ち上がって、まさに順風満帆の辰夫だったが…。1960年代前半、オリンピック直前の東京を舞台に、あふれる野心とエネルギーを抱えた青年の姿を描いて、時代の空気を鮮かにとらえた長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ワッピー

23
いつしか文化発信者のような立場になって「遊びの会」を立ち上げ、ショービジネスの世界にも関わりを持っていくが、どこの曲がり角にも魑魅魍魎が潜んでいて、脇の甘い前野は自覚なく見えざる敵を作り出す。編集方針の二転三転、恋愛の破局、そして取り立てた若手の造反により追い込まれていくのは後の「極東セレナーデ」でも見られた構造です。赤星プロの手はかなり長いようですね。第18章の山の手・下町の違いを解説する部分は秀逸で、前野の性格形成の説明にもなっています。ラストのどんでん返しで、著者が人を信じられないという理由を理解。2020/04/17

ゆーいちろー

3
作者いわく本作は「『坊ちゃん』の六一年度版」だそうである。だとすれば「うらなり」で作者が「坊ちゃん」を敗残者の文学である、と規定したように本作もそのように読まれるべきであろう。実際、主人公は、社内政治に敗れた後、決して成功者とはいえない境遇に陥っている。同時に、何故敗残者であり続けるのか?という問いには、作者のもう一つのキーワードでもある「大人になりきれない世間知らずさ」も浮かび上がってくる。時代なのか、最初から勝負を投げる気味のあるわたしたち(もしくはそれ以降)の世代から見て、彼らがうらやましく思える。2010/09/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/514343
  • ご注意事項