内容説明
維新は成った。中村半次郎改め桐野利秋は、西郷の腹心として存分に働き、日本初代の陸軍少将となる。ザンギリ頭にフランス香水をつけ、得意絶頂の桐野だった。が、西郷は新政府のやり口に苦りきっていた。そしてついに、進退をかけての征韓論争に敗れ、西郷は帰郷。桐野ら薩摩隼人の心酔者たちは放っておくことができない―城山での壮烈な最期まで、激動の時代を駆けた一快男児の半生。
感想・レビュー
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yoshida
87
維新成り、絶頂にあった桐野利秋。陸軍少将となり西郷隆盛の下で新政府で働く。征韓論での政争に敗れ西郷は下野。桐野等、新政府軍の薩摩出身者の大半は西郷に従い鹿児島に戻る。有為な若者を育てる筈の私学校の暴発。桐野達は西郷を担ぎ、新政府に物申すべく軍を動かす。まずは西南戦争での薩摩軍の計画の稚拙さに驚く。西郷は彼等には錦旗と同じく、掲げれば相手は靡くと思ったか。新政府軍に敗れる薩摩軍。下野した4年の間の時流を桐野等は掴めなかった。鹿児島を訪れた法秀尼の死出の贈物で桐野は最期を飾れただろう。「翔ぶが如く」も読もう。2022/10/29
ともくん
66
中村半次郎改め、桐野利秋の後半生。 明治維新で、西郷隆盛と共に活躍。 だが、維新後は凋落していってしまう。 西郷隆盛と似たもの同士の性格が、西郷との結び付きを強めたのか。 最後まで、西郷隆盛を慕い、守り抜いた桐野利秋。 漢の中の漢である。2020/07/04
優希
59
維新により時代は明治へと。半次郎は名前を桐野利秋と改名します。西郷どんの腹心として働き、後陸軍少尉となる流れが桐野の明るさの象徴だと思います。まさに人生の絶頂と言えますね。最期は壮絶でしたが、激動の時代を己の剣で駆け抜けた半生に魅了されました。2023/02/26
タツ フカガワ
58
明治新政府誕生後、陸軍少将に進んだ半次郎は桐野利秋と改名、髭をたくわえ元旗本屋敷に住まうなど暮らしも激変する。そんなころ、西郷隆盛が政府内での征韓論争に敗れて下野する。「西郷の、その不世出の人間的魅力、底の知れぬ感情の烈しさと肚のふかさ」と、作者が書くように、このあたりから西郷の魅力に引っ張られて一気読み。城山での最期には思わず落涙でした。改めて池波さんのうまさ(法秀尼が突如鹿児島に現れる演出も含めて)を実感できた作品で、これは傑作ですね。2023/06/06
HIRO1970
56
⭐️⭐️⭐️久々の正ちゃん。池波さんもこれで134冊目となりました。賊将は既読でしたが、加筆しておりかなり楽しめました。竹を割ったようなという表現がぴったりな中村半次郎が桐野利秋に変わって最期を迎える西南戦争までがまさに映画の様に描かれています。情景の臨場感が半端なく迫ってくる名作でした。また正ちゃん解禁して読み出そうと思います。オススメです。2015/06/18