内容説明
幕末には「人斬り半次郎」と恐れられ、維新後はわが国最初の陸軍少将となり、最後は西郷隆盛をかついで西南戦争に散った快男児・桐野利秋を描いた表題作。10年に及ぶ戦乱に何らの力も発揮出来ない将軍・足利義政の苦悩を刻んだ直木賞候補作の中編『応仁の乱』。表と裏の顔を兼ね備えた人間という生き物のおかしみを捉えた『秘図』など6編。直木賞受賞直前の力作を集めた短編集。
感想・レビュー
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鱒子
70
短編集。「秘図」鬼平より40年前の火付盗賊改役 徳山五兵衛(実在の人物)。人に言われぬ彼の趣味とは……。名作!!無骨な美男の意外な趣味に、ニヤニヤとクスクスとホッコリが止まらないです。 表題作「賊将」は、人斬り半次郎の人斬りな所以をすっ飛ばして、西郷LOVEな一生をえがく。いや〜池波正太郎、やっぱいいねぇ。2020/10/05
けやき
52
短編集。「応仁の乱」と「秘図」が面白かった。「秘図」は長編化した「おとこの秘図」が未読なので、いずれ読みたい。2021/11/07
ゲンキ
43
6編から成るが、やはり賊将(桐野利秋)と将軍(乃木希典)の話にはグッと来ました😢桐野利秋は、最後まで西郷隆盛を一筋に思い、官軍の弾丸を浴びて死んでいく。乃木希典は、日露戦争での何万もの国民の死の責任を一身に浴びて、明治天皇の御大葬の日に自決する。乃木希典の辞世の句も書かれていて、流石に泣けます。この本を読んでみて、御二人の信念の強さに感動させられましたし、自分の未熟さを改めて感じさせられたので、本当に良かったです。2019/06/22
金吾
35
○室町時代から明治までの間の歴史短編集です。「刺客」「賊将」「将軍」が面白かったです。特に乃木将軍のとらえ方が良かったです。2025/04/02
ちゃま坊
28
短編集。室町時代1編、江戸時代3編、明治時代2編。「応仁の乱」は登場人物の相関図が複雑で難解。「秘図」は火付盗賊改の徳山五兵衛の話。どうも実在の人物らしい。絵を描く趣味は作者と同じ。男女の秘密はあの世にまで持っていくのがよいか。桐野利秋と乃木希典の生涯は司馬遼太郎の視点とは少し違う。2021/01/16