内容説明
盲目の武士をやさしくいたわる托鉢僧―。旅の途中で出会った、年老いた二人連れが何故か秋山大治郎の心に残った。江戸に帰った大治郎は、偶然試し斬りされかかった件の老僧を助け、二人が二十八年におよぶ仇討ちの敵同士であることを知る。人知をこえたその絆の不思議さを描く「隠れ簑」。小兵衛が小金持ちの隠居と見られて盗賊に狙われる「徳どん、逃げろ」など、シリーズ第7弾。
目次
春愁
徳どん、逃げろ
隠れ蓑
梅雨の柚の花
大江戸ゆばり組
越後屋騒ぎ
決闘・高田の馬場
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まめこ
20
★★★★★「徳どん、逃げろ」下っ引きとは露知らず…徳次郎さんを盗人にスカウトした八郎吾さん。狙いはまさかの小兵衛さん隠宅(笑)のち(涙)。「隠れ蓑」大治郎が助けた老僧が寄り添うのは盲目の浪人。長年の献身の裏に隠された真実にしんみり。今回も悲喜交々、剣呑な事件の話も多いのに、なぜか穏やかで幸せな日常が印象に残る。四季の移ろいを感じさせる旬の料理や自然、すぐに目元をうるませる小兵衛さんの影響かな~2022/10/09
Richard Thornburg
12
感想:★★ シリーズ第7弾! 7篇の短編で構成されています。 別にこれまでと同じアプローチでも充分に楽しめると思うのですが、『大江戸ゆばり組』や『越後屋騒ぎ』のように、妙にベタな現代事件風の要素を取り込んだことで消化不良気味でした(^ ^; 『徳どん、逃げろ』は人情味溢れる話で楽しめました。2016/06/26
オールド・ボリシェビク
5
シリーズ7作目。「春愁」「徳どん、逃げろ」など7編を収める。主人公の秋山小兵衛が金持ちじじいと目されて(本当なんだけどね)、盗賊に狙われるなど、この巻もまあ、いろいろあります。表題作は盲目の武士と托鉢僧のふたり連れの長年にわたる絆を描く秀作。人間、いろいろあるんだぜ、ということをしみじみと感じさせてくれます。本当に池波正太郎、リーダビリティーは最高だ。剣客商売シリーズは全16巻。もう半ば近くまで来てしまったので、しばらくは読むのをやめとくか。2025/02/07
文章で飯を食う
4
「徳どん、逃げろ」いい話、いい男だね。 「梅雨の柚の花」好きだなー。「隠れ蓑」いい話だけど、私には切なすぎる。2011/07/01
HaruNuevo
3
人生の巡り合わせの不思議と人の業を滋味深く描いた表題作『隠れ蓑』 仇討ちという仕組みから生まれたなんとも言えない短編。2020/06/04