内容説明
肉親を次々と失い朝鮮出兵もうまくゆかず、豊臣秀吉は日に日に生気を失っていく。秀吉歿後をにらんで諸雄は動き始めるが、思いがけず秀頼が誕生したことで天下の行方は混沌となる。いったんは次の天下の主は徳川家康をおいて外にないと確信した真田昌幸であったが、「好きな男」秀吉の世継ぎに己れの命運を賭けようとして、徳川方から嫁をもらった長男・信幸との関係が微妙になる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
193
真田家はいまのところ表立って動かないが、真田家を通して見た歴史は激しくうねる。豊臣家の興亡とともに草の者たちも活躍。物事を表からも裏からも両方の視点で描いて厚みを出していくのがいかにも池波正太郎的世界。2017/03/03
やま
163
【再々読】血沸き肉躍る!!真田太平記㈤ 2011.02発行。大活字文庫。上信州にまたがる真田家の領地を守るため、真田昌幸、長男・信幸、次男・幸村の活躍の物語です。豊臣秀吉に子息・秀頼が誕生しました。真田昌幸は、長男・信幸と一緒に秀吉亡き後は徳川家康を頼みにして行く方針でしたが、秀吉の血を分けた子が生まれたからには、昌幸は、秀吉亡きのちも豊臣家を支持して行く方針に変わり、信幸とは、将来の進むべき道が違う事となりました。向井佐平次の息子・佐助15才が、真田忍びとして佐和山城の石田三成の見張りにつきます。→2020/10/17
とん大西
129
風雲急を告げる政局。かりそめの天下泰平がゆるやかに崩れだす。秀頼の誕生、秀次の自害、朝鮮侵略…全ての事件がツワモノどもの分岐点。真田家の行く末も同様。来るべき時に備え、やはり暗躍の日々に身を置く忍びの者、そして総帥昌幸。…そして、巨星堕つ。秀吉の死-戦国最大の分岐点の一つにして関ヶ原のプロローグ。若き佐助も跳び、走り、躍り始めた。風雲急を告げる天下、対峙を余儀なくされる昌幸、幸村、信幸ら真田の男ども。さぁ、戦いと苦悩が始まる。2021/05/11
あすなろ
114
5巻は、秀頼誕生・秀吉の死に前田利家の死とまた世が翻弄される季節が到来した事を描く。その流れの描き込みも大変興味深い中、真田家の系譜と忍びの系譜も追う。佐助も成長し登場。いやはやそのどれもが面白く興味深いのである。今巻も530頁はある。池波氏の筆力も相当なものであり飽きさせない。さて、いよいよ次巻は、池波絵巻・関ヶ原なのか。2025/01/20
優希
108
目まぐるしく変遷する状況に翻弄されます。時代の移り目が見え始めたということでしょうか。朝鮮出兵がうまくいかないばかりか、肉親を次々と亡くす秀吉。そしてその死の影は秀吉にも忍び寄ります。弱々しくなる秀吉を狙い、武将たちが動く中での秀頼の誕生は、天下の行方を一度は混沌へと投じたように見えました。家康が狙う天下、秀頼に賭ける昌幸。三成は豊臣天下を守る為、立ち上がり、関ヶ原へと繋がる役者が揃ってきたようです。豊臣側の昌幸と幸村、徳川側の信幸との関係も気になるところですね。2016/11/05