出版社内容情報
平家滅亡後、兄頼朝との軋轢が決定的になった義経。「腰越状」で真情を切々と訴えるが届かない。義経は戦を避けて都落ちを決意する。
軍勢をやって、九郎めを、討ち取らせん。平家を滅ぼした後、義経と兄頼朝にとの亀裂は、深まる一方だった。平宗盛父子を護送して鎌倉に向かった義経は、入府を許されず、腰越に留め置かれる。心血を注いだ愁訴の状を幕府の大江広元を通じて差し出すが、その真情は頼朝には届かなかった。失意のうちに京に戻ると、刺客が館を襲撃。義経は戦を避けて、弁慶、静らとともに西国へ下ることを決意する……。切々たる「腰越状」、堀川夜討、義経の都落ちを描く第十八巻。
内容説明
平家を滅ぼした後、義経と兄頼朝との亀裂は、深まる一方だった。平宗盛父子を護送して鎌倉に向かった義経は、鎌倉入りを許されず、腰越に留め置かれる。心血を注いだ愁訴の状を幕府の大江広元を通じて差し出すが、その真情は頼朝には届かなかった。失意のうちに京に戻ると、刺客が館を襲撃。義経は戦を避けて、弁慶、静らとともに西国へ下ることを決意する…。切々たる「腰越状」、堀川夜討、義経の都落ちを描く第十八巻。
著者等紹介
吉川英治［ヨシカワエイジ］
１８９２‐１９６２。神奈川県生まれ。船具工、記者などさまざまな職業を経て作家活動に入る。国民文学作家と親しまれ、１９６０（昭和３５）年文化勲章受章（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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姉勤
28
平家打倒の殊勲第一の義経は、その奇跡的用兵と戦果によって頼朝に疎まれ、ついには源氏の敵として追われることとなる。従順を宣誓した証文は既読スルーされ、鎌倉には入府を許されず、少ない郎等だけとなった館は夜襲を受け、大地震、嵐による遭難と立て続く不運は、平家を滅ぼした因果がブーメランのように我が身と近親者に降りかかる。己に恥じない「潔さ」だけを頼りに散りじりになった義経一党は。かつて平家に追われ、母、常盤御前と過ごした吉野へと辿り着く。2018/12/19
ソングライン
13
平家を壇ノ浦にて葬った源氏、一番の戦勲をあげた義経を襲う不条理な頼朝の仕打ち。捕虜となった平宗盛の引き渡しに鎌倉に赴く義経、しかし面会は叶わず、さらに京に戻った義経への追悼命令。猜疑に惑う頼朝に覇者の誉は訪れず、世の不条理を味わうも憎しみに狂うことなく愛に生きる義経の見事な潔さに感動する十八巻です。義経の情けを胸にしまい、静の幸福を願い荒波に沈む百合野のあわれに、涙しました。2020/01/20
ムカルナス
11
平家討伐の戦功に対する頼朝の誤解を解こうと鎌倉に赴くも入ることは許されず、やがて義経を討てとの命令が出され、義経は都落ちし吉野に逃れる。頼朝が源氏による武家政権樹立の野望を抱く政治家にあったのに対して 親兄弟の愛情を知らずに育った義経は戦上手ではあっても武人でさえもなく兄・頼朝に褒めてもらいたいだけ、平家を倒すことにより亡き父の遺志を継ぎたいだけだったのでは・・義経の軍才を認める周囲は頼朝との対決を促すが、自分の兄への思いは報われないと悟った義経は愛する静との平穏な暮らしだけを願うようになる。2019/08/25
スー
9
読むのが辛くてなかなか進めませんでした。義経の家臣への想い敗者への想い優しさが良く伝わってきました。しかし、その優しさと家臣達の想いが皮肉にも義経を縛り破滅に向かわせてしまいます。なんとか九州に逃げ延び戦の無い生活を営んで欲しかったのですが。だけど、負けるが勝ちで義経は讃えられますが頼朝は非道な男として伝わってるのが救いです。2016/12/11
gushwell
9
こまで読んできた巻の中で、一番つらい気持ちになりました。義経をそのまま重用していても問題はなかったと思うのですが、頼朝はやはり義経の才能を恐れ、その存在を憎んでいたのでしょうか。頼朝の気持ちがどうやっても理解できません。義経の気持ちを思うとなんとも言えない気持ちになります。「判官贔屓」という言葉が出来たのもうなずけます。都落ちした義経のこれからの運命が気になってしかたありません。 2016/10/10
