内容説明
立派な論理やイデオロギーでではなく、「人間的魅力」で人を感動させ、奮い立たせることができるのが真の指導者と言えるのでないか。該博な知識と経済界での幅広い交友をもとに、瀬島龍三、石坂泰三、岩田弐夫、中山素平、鮎川義介、など多くの実例を引きつつ「人間的魅力」とは何かについて語る。人物論では第一人者の著者が死の直前まで精魂を傾けたライフワーク、待望の文化。
目次
序 人間的魅力とは
1 深沈厚重の魅力
2 磊落豪雄の魅力
3 聡明才弁の魅力
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みどり
1
たくさんの偉人の逸話を織り交ぜたいろいろな考えを提唱してくれる本。1番心に残ったのは奥村綱雄の話。呵々大笑する癖があった奥村に”目が笑っていない”と言った人間がいた。それに対し彼は”気をつけんとなあ”とまた豪快に笑ったあと「蝸牛角上の争」の話を挙げて一回り上で皮肉に皮肉を返した。なんとも涼しい男の人だと思った。「ーーそれぞれの分に応じて人生をよろこび、楽しんだ方が良い。だいたい、大口を開けて腹の底から笑えぬようなやつはかわいそうな馬鹿者さ。」何事も中途半端をせず、芯をしっかり守り生きる人は格好が良い。2016/06/26
ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
0
著者の遺著に当たる、人物論としては有名な本。経済界を中心に人間の魅力とは何かについて具体的に書かれていて、いま読んでもとても興味深い。2009/08/11
lsfid
0
〈伊藤整〉の著書かと思いきや、正しくは〈伊藤肇〉であった。知らない著書だったが、そんな勘違いはさておき、思いがけず良い本であった。 「魅力」を分析した呂新吾の『呻吟語』にある“深沈厚重、磊落豪雄、聡明才弁”という三つのパターンから人間的魅力を語る。 良寛、西郷隆盛、道元など歴史的人物の魅力も語られているが、昭和の財界人を数多く取り上げているのが本書の特徴であり、今まで知らなかった人物を知り得ることが出来てありがたい。 自分の将来も聡明才弁、磊落豪雄の順序を踏んで遊戯三昧な深沈厚重の域に達したいなあ。2023/09/15