出版社内容情報
幕府と雄藩の対立はいよいよ深まりもはや公武合体の機運は失われた。折しも土佐藩より、大政奉還の建白がなされる。世情は混乱をきわめ、巷には「ええじゃないか」が流行、幕府に世の流れをおしとどめる力はなかった。十五代将軍徳川慶喜は勝を召し、涙とともに胸中を吐露する。「安房、この上頼れるは、その方只一人なるぞ」再び檜舞台に立つ勝、その大任は大政奉還であった。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セロリ
35
竜馬が殺された。将軍慶喜は大政奉還を決断。しかし鳥羽伏見の戦いが起きる。あろうことか将軍は、それを見捨てて江戸に逃げ帰ってくる。その後はなんと言われようとも、フランス人に薩長と戦うよう言われても『戦わない』を貫く。内乱は他国の干渉や支配を受けやすくしてしまう。これは今のご時世でも同じこと。勝麟太郎は、そこを一番危惧している。徳川幕府の幕臣だか、日本国の臣民であると。みんな日本国の臣民じゃないかと。幕末のドタバタで、多くの命が失われた。勝麟太郎曰く「時の勢いには勝てない。死を急ぐべきでない」その通りだ。2023/05/21
B-Beat
27
★いよいよ幕末が風雲急を告げてきた。将軍慶喜が大政奉還という離れ業。しかし権力の完璧な奪還のためには武力衝突は不可欠とばかりに薩長が仕掛けてくる。折しもドラマ官兵衛は家康が天下取りで関ヶ原を仕掛けたところ。幕末に至って関ヶ原当時の役者が完全に入れ替わった。西軍に属したばかりに薩摩に逃げ帰った島津。その敗因の最たるものは情報不足。ならば今回は同じ轍は踏まずとばかりに諜報活動に藩士が暗躍、海舟に接近する。海舟は海舟で彼らから薩摩の動きを察知してそこはお互い様。やがてそんなネットワークが日本を救う。第5巻へ。2014/11/25
ちゃま坊
13
松本良順と勝海舟のキャラクターが似ている。組織の中では異端者だろう。このコンビもなかなかおもしろい。幕末維新の著名人の人脈図を作ると、敵にも味方にも太いパイプを持つ勝海舟はいつも中心にいる。しかし重要事件はその周囲で起こっている。弟子の坂本龍馬は勝の分身のように思える。幕臣の立場上できなかったことを竜馬が成し遂げたのか。大政奉還。そして竜馬暗殺事件。鳥羽伏見の戦い。2019/03/11
さっと
8
長州征討で露呈した幕府の衰弱はいかんともしがたい時代の流れに飲み込まれ瓦解の一途をたどる。宮島談判をこけにされた勝は江戸に帰るが、大政奉還、龍馬暗殺、江戸騒擾と世情さわがしい中、ついに鳥羽・伏見の戦いが勃発。大坂城から逃げ帰った慶喜は恭順の意を表し、戦後処理に勝がかつぎだされる・・。江戸薩摩藩邸の藩士や新徴組の隊士みたいに、正反対に属する人たちが出入りして世間話でもしているような元氷川の屋敷でのやりとりが良い。思いは日本国のためなんだが、これじゃどっちつかずで片方から悪い目で見られるのも無理はないやね。2013/10/24
koyak
6
大政奉還、竜馬暗殺、そして鳥羽伏見の戦いから始まる戊辰戦争の勃発。時代は明治に向けていよいよ大詰めとなっていきます。坂本竜馬や薩長の人物などが主人公であればクライマックスの一つとなる場面ですが、江戸城無血開城前までの勝海舟視点だと「蚊帳の外」感が強いです。それだけに勝海舟の言葉にならないじれったさ、焦りが感じられました。次巻はいよいよ海舟一世一代の晴れ舞台・・・でしょうか?2012/11/05