内容説明
’95年1月、阪神・淡路大震災、3月には地下鉄サリン事件と大惨事が続く。司馬遼太郎は『街道をゆく』『この国のかたち』『風塵抄』の連載なかばにして、’96年2月12日夜、腹部大動脈瘤破裂のため急逝した。享年72。この巻は、被災者を励ます「世界にただ一つの神戸」、小説家になった動機を明かす「なぜ小説を書くか」「二十二歳の自分への手紙」など、絶筆までのエッセイ95篇を収録。
目次
つたなき五官
変える・変えないの話―モンゴル素描
草原の暮らしよさ―モンゴル素描
“少数”というおもしろさ―モンゴル素描
馬上の精神―モンゴル素描
あとは羊で―モンゴル素描
カン・ジェオン(姜在彦)『現代日本朝日人物事典』
私事のみを(谷沢永一著『完本 読書人の壷中』)
文庫版のために(『韃靼疾風録』)
あざやかな印象〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
50
司馬さんの晩年のエッセイになります。何故小説家になったかという動機を知れたのが良かったと思いました。幾つかの連載半ばで急逝されたのが悼まれます。日本人とは何かを追い続けた生涯を送ったと言っても良いでしょう。2023/03/28
金吾
33
○司馬さんの晩年のエッセイです。非常に幅広い分野について触れており、著者の好奇心の強さを感じます。モンゴル関係の部分と「日本仏教小論」「渡辺さんのお嬢さん」「日本人の二十世紀」「永井さんとのよろこび」「人間の魅力」「私の播州」が良かったです。2023/01/16
ジャズクラ本
24
◎読んだのは単行本だが書誌がないのでこちらで登録。よって文庫本にある解説がない。司馬の雑文をまとめたこのシリーズの最終巻なので最晩年の平成のものばかりだが、巻頭に昭和37年~56年の著がいくつか含まれているのはどうしたわけか。刊行途中に見つかったものをまとめてこの巻にねじ込んだのかもしれない。彼の作品の人物を総決算のように顧みた「人間の魅力」や福田家(司馬の本名)の素性を記した「私の播州」などが死を直前にした一年以内に書かれている。最晩年のこれらが別れを示唆しているように思われて言い切れぬ寂しさを感じた。2020/07/01
時代
12
『司馬遼太郎が考えたこと』シリーズ第15巻。色々な媒体に書いたエッセイなどを時系列順に。平成2年10月から平成8年1月まで。2月12日、急逝。日本人とは何かを探し続けた生涯だった◯2022/01/25
KAZOO
10
やっと15巻全部を読み終わりました。1年かかるかと思っていたのですがその半分で済みました。司馬さんのエッセイを年代ごとに読んでいくというのは司馬さんそのものの考え方の系譜をたどっていくということで結構興味がありました。最初の頃はそんなに表には出てこないのですが結構才走った感じがしたものでしたが、この巻を含めて最後の近くの本になると丸みを帯びた円熟味というのが感じられました。また細かいことから、日本やアジア全体を含めての文章が増えています。2013/07/01
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