内容説明
気運が来るまで気長く待ちつつ準備する者が智者。気運が来るや、それをつかんでひと息に駆けあがる者が英雄。―それが庄九郎の信念であった。そして庄九郎こそ、智者であり英雄だった。内紛と侵略に明け暮れる美濃ノ国には英雄の出現は翹望する気運が満ちていた。“蝮”の異名にふさわしく、周到に執拗に自らの勢力を拡大し、ついに美濃の太守となった斎藤道三の生涯。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923‐1996。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた’60(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。’66年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。’93年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、’71年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むーちゃん
208
自分の好きな歴史上の人物上位にきました 斉藤道三 信長の模範、高杉晋作における吉田松陰かと。 2017/06/03
yoshida
176
斎藤道三は所謂、革命児だったことが分かる。彼が戦ったのは古くから続く旧弊や既得権益。商売や関所の利権。守護の座におり安逸に暮らす者達。革命の一つが楽市楽座であり、信長はその政策を受け継いだ。一介の僧から身を起こし、才知を尽くし、機を窺い、遂に美濃を支配する道三。天下を狙った道三だが、遂には人生の後半が訪れる。彼の革命の思想は二人の弟子に受け継がれる。織田信長と明智光秀。この作品は旧弊と戦う革命児達の話しなのかも知れない。どの時代も旧弊があり、先を見通すものが時代を征していく。その激しい攻防に息を飲む作品。2020/02/16
ちび\\\\٩( 'ω' )و ////
172
権謀術数の限りを尽くし、美濃国乗っ取りに周到に着手する庄九郎。気運(しお)が来るまで気長く待ちつつ準備する者が智者。気運が来るや、それを掴みひと息に駆け上がる者が英雄。ーーーそれが彼の信念であった。やがて土岐氏のNo.3、そしてNo.2へ、、。腐敗した美濃国、堕落した土岐政権には英雄の出現を待望する気運が満ち満ちていた。待ちに待った大気運が渦を巻き、竜が水を得る如く美濃の蝮は飛昇する。そして遂に彼の下克上は完成する。その生涯を費やし、乞食の身から美濃の大名となった〈蝮〉斎藤道三の生涯。ー完結ー 2018/10/31
やっちゃん
159
信長は道三に影響をうけていたのか生き様がそっくりではないか。世間では毒と思われる異端児が時代を変えるのは分かるけど、自分は毒物が苦手な保守的でつまらない人間だなとつくづく思い知らされる。才があるからこその生き方だ。2023/02/14
金吾
149
◎悪い奴でありながら憎めない男、道三の魅力が満載されています。広い戦略的視点に基づく目的が明確なので、姿勢がぶれないからなのかなあと思いました。この本で道三、信秀、信長、光秀等のイメージが作られたので、私にとっては関ヶ原と並び大きな影響を受けた本であると思います。2021/10/01