内容説明
現代の江戸人・杉浦日向子による、実用的かつ、まことに奥の深い江戸案内書。江戸美人の基準、三大モテ男の職業、衣食住など、江戸の人々の暮らしや趣味趣向がこれ一冊でわかる。さらには「殿さま暮らし」は楽かの考察(「将軍の一日」)、大奥の仕組み(「ザ・大奥」)、春画の味わい方(「春画考」)まで。著者の自筆イラストもふんだんに盛り込まれ、居ながらにして気分はもう江戸人だ。
目次
第1章 入門編(大道芸;生涯アルバイター ほか)
第2章 初級編(長屋の生活;浮世風呂 ほか)
第3章 中級編(江戸見物(硬派編)
江戸見物(軟派編) ほか)
第4章 上級編(How to 旅;春画考 ほか)
著者等紹介
杉浦日向子[スギウラヒナコ]
1958(昭和33)年、東京生れ。文筆家。「通信室乃梅」で漫画家としてデビュー。以来、一貫して江戸風俗を題材にした作品を描き、’84年『合葬』で日本漫画家協会賞優秀賞、’88年『風流江戸雀』で文芸春秋漫画賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
524
杉浦日向子さんの描いてみせる江戸は、なんとも伸びやかな郷愁に満ちている。しかも、それは現代の私たちが失い、もはや取り戻すことができないものだ。ただ一人彼女だけが悠々と江戸を生きていた。「毎日が日曜日」だった江戸人。「いき」をこよなく愛した江戸人。「宵越しの銭は持たない」いさぎのよさ。彼女の本を読むと、つくづく江戸に生まれたかったと思う。せめて杉浦日向子さんお勧めの、千住大橋から芝明神にいたる江戸見物コースをたどることで「一日江戸人」の気分を満喫するか。2014/06/21
鉄之助
491
著者自ら描いたイラストに、味がある。説明も「痒いところに手が届く」きめ細かさ。天下の悪法と言われている、五代将軍・綱吉の「生類憐みの令」。実は、犬小屋に「保護」という名のもとに監禁され、ほとんどの犬は病死した。それまで噛みつく「怖い犬」というイメージの市中の犬がいなくなり、犬を愛玩しペット化するきっかけとなった、という。「一日江戸人」になってみて、初めて知ることだった。2021/03/29
seacalf
283
いやもう面白いの何のって。目を見張る面白さ。江戸にまつわるトリビアが満載で、驚くほど多彩な知識に舌を巻く。何よりもカラッと明るいのがすこぶるいい。今は自宅待機であれもできない、これもできないと閉塞感に陥りがちな時期だけど、今よりも確実に不自由だったはずの江戸っ子の羨ましく感じてしまうくらいの豊かな生き方にならって呑気に構えてみれば、案外気持ちが楽になるかも。杉浦さん自身も闘病しながらも明るく前向きに生きた方だったそうな。年間おすすめ本ランク入り決定。読んでいると頬が緩んでくる幸せな読書。元気になりますよ!2020/04/18
舟江
231
若くしてお亡くなりになられた漫画家が書かれた本。生活の様子を感じることができ、好感が持てた。もう少し長生きして、いろいろ書いて欲しかった。2017/12/13
kaizen@名古屋de朝活読書会
218
江戸情緒あふれる挿絵と文。下町の物語にはこの人にぜひ絵をお願いしたいと思えるような細かな表現の違いを書き分ける。賑やかしいのが得意そう。2013/06/24