内容説明
ちはやぶる神々の力が天地に満ちていた古代日本。龍神の加護により、生まれながらにして恐るべき呪力を備えた一人の姫が誕生した。のちに神功皇后となる息長姫である。倭建の息子である偉丈夫タラシナカツヒコ王子(仲哀帝)は、この息長姫との婚姻を強く望む一方で、大和の政権を奪取すべく立ち上がる―。四世紀の大和の地で、武力と呪力が妖しく交錯する闘いの火蓋が切られた。
著者等紹介
黒岩重吾[クロイワジュウゴ]
1924(大正13)年大阪生れ。同志社大学卒。’60(昭和35)年『休日の断崖』でデビュー、同年『背徳のメス』で直木賞受賞。現代の欲望を抉る社会派推理作品を多数発表したのち『紅蓮の女王』『聖徳太子』など古代史をテーマにした長編に取り組む。’80年『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を、’92(平成4)年『弓削道鏡』を初めとする一連の古代史ロマンで菊池寛賞を受賞
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感想・レビュー
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レアル
51
この4世紀という時代は神話の世界と交じり合って進むところもあり、ファンタジー感満載で綴られる物語なのだが、そのファンタジーも単なる著者の妄想ではなく記紀との記述を取り入れて進められている。上巻は神功皇后となる前の息長姫の物語で、とても逞しい姫として描かれている。息長という一族をこれほど詳細に描かれた物語を読んだ事もあまりないので、神功皇后の物語だけでなくその歴史背景の物語も読んでいて楽しい。2021/09/23
優希
48
面白かったです。4世紀という時代から神話の絡むファンタジーという印象を受けました。九州に邪馬台国があったという前提で描かれているのですね。上巻は神功皇后が嫁ぐまで。少し焦ったい感があるのですが、嫌ではありません。下巻も読みます。2022/03/13
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14
**古史古伝・オキナガタラシヒメノミコト・上巻**感想は下巻でまとめます。2014/02/18
くっちゃ
8
邪馬台国九州説をとっているけど、読んでいるとそれ以外考えられないくらい信憑性があって凄い。色々悟っちゃってる息長媛が健人の前では普通の女の子のように駄々捏ねたりするのが、なんとも可愛らしい。ただ、息長姫神に憑かれすぎ。2016/07/23
ひろ
5
日本の紙幣に肖像画がはじめて採用された際の人物が神功皇后。これには時代背景などやや歪んだものもありそうだが、当時弱体化しつつあった大和王権に対して、どのように日本をまとめ、引き継いでいったのか、とても興味がある。葛城、息長の血を受け継ぎ、日本武尊の血を受け継いでいくことになる。2022/06/26