内容説明
五年の在任中、署でも官舎でもぐうぐう寝てばかり。転任が決るや、別れを悲しんで留任を求める市民が押し寄せ大騒ぎ。罪を憎んで人を憎まず、“寝ぼけ署長”こと五道三省が「中央銀行三十万円紛失事件」や「海南氏恐喝事件」など十件の難事件を、鋭い推理と奇抜な発想の人情味あふれる方法で次々解決。山本周五郎唯一の警察小説。
著者等紹介
山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903‐1967。山梨県生れ。横浜市の西前小学校卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む。1926(大正15)年4月『須磨寺附近』が「文藝春秋」に掲載され、文壇出世作となった。『日本婦道記』が’43(昭和18)年上期の直木賞に推されたが、受賞を固辞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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涼
74
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/06/post-605a95.html 短いものばかりでサクサク読めました。それにしても、世間というのは、簡単に信じ込んで態度豹変となるのですね。 それも織り込み済みの署長でしたが、何だか寂しいです。2022/06/15
優希
48
面白かったです。寝ぼけ署長は罪を憎んで人を憎まず。難事件を鋭い推理と奇抜な発想で人情味あふれる手腕で解決していくのが気持ちよかったです。2023/04/25
森林・米・畑
39
時代背景は昭和初期、一見ダメ署長に見えるが、人情味があり市民に愛される。寝ぼけ署長が活躍する短編集で、さまざまな事件を解決していく。事件の解決方法に趣向が凝らされている。勧善懲悪で痛快な場面もあったり面白かった。山本周五郎さん唯一の警察小説みたいです。2024/12/14
あまみ
28
山本周五郎氏では珍しい(私は初めて)現代の物語、短編集。といっても昭和中期、戦後間もない頃だと思う。漢字の使い方などノスタルジックさを感じさせてくれた。ミステリーというより、推理小説、探偵小説と言ったほうがよさそうな作品群だった。 山本氏の時代小説にあるような人情劇がこれら作品の中でも醸し出されている。2022/07/21
こうすけ
26
山本周五郎による現代ミステリー小説。と、いいつつ、赤ひげを現代の警察署長に置き換えた、相変わらずの周五郎ヒューマニズム全開の作品。「神よゆるしたまえ、かれらはその為すところを知らざるが故に」。心地よく読める、安定の面白さ。2022/01/23