内容説明
幼い恋心で男との約束を交わしたおせんは、過酷な運命に翻弄される。おせんを愛する幸太は、命をかけて彼女を守り抜く(『柳橋物語』)。周囲の愛情に包まれ何不足なく育ったまきに降りかかった夫の裏切り。密かに慕う直吉は愚直なまでにまきに尽くすが(『むかしも今も』)。一途な愛の行方を描く、下町人情溢れる感動の傑作二編。
著者等紹介
山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903‐1967。山梨県生れ。横浜市の西前小学校卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む。1926(大正15)年4月『須磨寺附近』が「文藝春秋」に掲載され、文壇出世作となった。『日本婦道記』が’43(昭和18)年上期の直木賞に推されたが、受賞を固辞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KEI
43
10代の頃に出会った山本作品の記念すべき1作目。江戸下町の風情や人々の姿や人情を横糸に、その時代の討ち入りや大火、大地震を縦糸に見事に織り込みながら今回も一気読みでした。【柳橋物語】主人公のおせんは庄吉を待ち続ける事で、かなり辛酸を舐める事になりますが、幸太の想いに気が付く下りでは、何度読んでも涙が出てしまいます。【むかしも今も】親方から「まきを頼む」と言われた直吉がそれを守る愚直な姿は前述の幸太にも繋がり一途な2人の男の姿がなんとも言えません。時代小説がお好きな方で未読の方に是非お薦め本したい本です。2019/12/19
tengen
38
敗れ庄吉は旅立つ。おせん待っててくれるか?そして幸太になびかないでくれと。おせんはその言葉にほだされた。「待ってるわ」幸太との縁談話が持ち上がるが断る。祖父が倒れると幸太の世話になるが、もう来ないでくれと突き放す。だが大火事の日に幸太はおせんの元に駆けつける。死んでも守る。そして幸太は火事からおせんを救い死んでいった。☆愚直な直吉はおまきの子守が生きがい。だがおまきは後輩職人の清次と祝言を。親方から死に際、後見になっておまきを守ってくれと頼まれる。清次は博打にのめり込んでいたのだ。直吉一層の献身が始まる。2019/12/19
おか
35
何だか嬉しい この歳になっても こんな純愛物語に胸がつまり 喉がつまり 眼から泪。。。「柳橋物語」は女性が主人公 あ~~~~わかる この気持ち 女って いや 女の子って 先ず 恋に恋しちゃうんですよね 「むかしも今も」あ~~~~こんな男に愛されたかった(笑)2025/01/26
のびすけ
28
「柳橋物語」のおせん、「むかしも今も」のおまき。どちらの物語も、艱難辛苦の末に本当の愛に気付く女性を描く。男は容姿や口先ではない。本当に愛してくれてたのは、ずっと近くで支え続け、命懸けで守ってくれた人だということに気付く。おせんとおまきには、大切な人とともに力強く生き抜いて欲しい。どちらの物語も清々しい気持ちで読了でした。面白かった。2020/12/27
雲國斎
22
ここんとこ、山本作品をまたちょくちょく読んでいる。「むかしも今も」は、おまきの言葉(何と言ったのかはぼかしてあるが)を聞いた主人公直吉が、顔を赤らめる場面で終わる。娘のおまきを頼むという主人の言葉を必死の思いで一途に守り通してきた直吉。愚直だが実直な主人公が最後に見せる様子がほほえましかった。原田マハさんの寄稿も良かった。2019/08/03
-
- 和書
- 絵本東の医学・西の医学