内容説明
武田家再興の鍵を握る秘巻を巡って四人の少年武者の艱難辛苦を描く「悪龍窟秘譚」。智恵が足りぬと蔑まれていた弟が悪徳の商売敵をやりこめる「鹿島灘乗切り」。父娘の命を賭けた伊達政宗への諌言を描く「誉の競矢」。剛勇無双の本多平八郎と同名の臆病侍が心機一転、強敵に挑む表題作。新発見二編を含む快作二十一編収録。
著者等紹介
山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903‐1967。山梨県生れ。横浜市の西前小学校卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む。1926(大正15)年4月『須磨寺附近』が「文藝春秋」に掲載され、文壇出世作となった。『日本婦道記』が’43(昭和18)年上期の直木賞に推されたが、受賞を固辞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じいじ
70
21篇どれも面白いです。ホッコリ笑えるユーモアに富んだ短篇が収載されています。表題作は徳川家康の重臣・本多平八郎ではなく、清州城で織田信長につかえるもう一人の本多平八郎が主人公です。豪傑な本物とは正反対の臆病者なのですが、信長の評価は高く傍において可愛がります。そんな信長に堪えて主人公は…。もう一篇【身代り金之助】がおススメです。歳は15歳同士だが、身分は主人と家来の関係。3つ違いの奈々は、そんな彼にイライラします。「今に見ておれ!」と金之助は一大決心を…。そんな彼は、母と奈々に置手紙をして旅立ちます。2024/08/24
優希
46
面白かったです。少年少女を主人公とした時代小説というのが新鮮でした。2022/02/24
Kotaro Nagai
10
本日読了。周五郎少年文庫6冊目。昭和5年~13年に少年少女譚海および少女倶楽部に掲載された時代物19編と新たに発見された現代物2編を収録。このうち少女倶楽部に掲載された「歔欷く仁王像」「誉の競矢」「鳥刺おくめ」「身代り金之助」「和蘭人形」は既刊の短編集「美少女一番乗り」(角川文庫2009年)にて収録済み。「悪龍窟秘譚」は武田家の財宝をめぐる伝奇ものですが、第1部のみで第2部は予告されたながら発表されなかった作品で惜しい。「南海日本城」は海洋物の中篇で面白かったが終盤やや雑な展開なのが惜しい。2021/02/08
りんご
8
周五郎さん得意の時代ものですが、少年文庫ということで活劇調です。気楽には読めます。2022/08/18
ひさか
7
2019年10月新潮文庫刊。少年少女譚海、少女倶楽部、新少年掲載の21編の短編を収録。古色蒼然としたお話ばかりで、興味深かったです。表紙絵が良いです。当時の少年少女の気持ちになれました。2020/09/03