感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
117
山本周五郎さんの短編集。武家モノから現代モノ10編収録。様々な苦難や非情な運命に逢いながらも、最後に救いや希望があり読後感が暖かい。「彩虹」での宗之助の行動は昔馴染みならでは。実に粋。「山茶花帖」での奇跡のようなラスト。悲しい運命に耐える話しかと思っただけに感動も大きい。「半之助祝言」での飄々とした半之助の動きに小気味良く読む。まさかラストにそこまで持っていくとは。「いしが奢る」では、いしが魅力的。危うい状況を切り抜けた二人の幸福が光る。現実は厳しい。だからこそ小説が与える希望が目映く輝く。素敵な短編集。2020/07/04
じいじ
79
山本周五郎の43作目。コロナ終焉を間近にして、運動不足による体力ダウンの状態ですが、何故か?山周小説だと安堵して読むことができます。さて、 山周小説の魅力をひと言では言えませんが、時代モノでも現代モノでも山周小説の登場人物には、救いのない悪人は出てきません。11篇の短篇集、お薦めは表題作の【雨の山吹】「豊かで温かい家庭に仕合せに暮らしている者には、不幸な者のキズや痛みは理解できない…」。グサリと胸に刺さりました。2025/05/24
タツ フカガワ
51
全10編のうち7編が武家物で、それもほとんどが恋物語という短編集。愚鈍で愚直、見た目もさえない男の密かな恋心におかしみが滲み出る「恋の伝七郎」。藩政改革に江戸から来た男の奇想天外な言動が笑いを誘う「半之助祝言」。一方、兄妹同様に育った妹が自殺。数年後、公金を使い込んで出奔したかつての家来と妹が暮らしていることが判明して、兄は二人を処罰するため向かう。結末の美しい描写が涙を誘う表題作ほか「いしが奢る」など、13年ぶりの再読も楽しい読書でした。2024/06/04
金吾
31
○山本周五郎さんの本は読み終わった時に清々しい気持ちになることが多いです。「喧嘩主従」が良かったです。2023/05/15
金吾
27
○山本周五郎さんの作品で感じるのは、人間のすごさです。実在はなかなかいないのかも知れませんが、信念をもった無銘の凄い人たちを見るとなんか元気が出て来ます。この本では「喧嘩主従」「半之助祝言」が好きです。2020/10/18