内容説明
大手商社の宣伝部に勤める浅井義雄は結婚して15年。だが、妻・道子との間に子供はなかった。過去二度も浅井に浮気された経験を持つ道子は夫の愛情をつなぎとめようと必死だった。そんな折、取引業者の小柳と銀座で飲み歩くうち、浅井はマチ子というホステスに誘われるまま一夜を共にした。それが自滅へ至る第一歩だとも知らずに―。男の浮気に対する女の非情な復讐を描いた問題作。
著者等紹介
有吉佐和子[アリヨシサワコ]
1931‐1984。和歌山生れ。東京女子大短大卒。’56(昭和31)年「地唄」が芥川賞候補となり文壇に登場。代表作に、外科医のために献身する嫁姑の葛藤を描く「華岡青洲の妻」(女流文学賞)など。理知的な視点と旺盛な好奇心で多彩な小説世界を開花させた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Satomi
63
50年ほど前の作品。まだ家に電話が無い時代。男たちは時代は変わっても浮気を繰り返す。電話が無くてもなんとかして連絡をとり、アリバイ工作をして愛人と逢瀬を重ねる。ねぇー、なんだかねぇー。何も望みません、あなたの子供を産ませて下さいって、そんなに都合のイイ愛人はいませんよ。…ホントに男は浅はかでバカだ。妻と愛人の復讐が始まりそうな予感を感じつつ下巻へ…。2015/09/30
Atsushi
41
まだ土曜日が半ドンだった頃、会社に先輩の奥様から電話があった。先輩は外出中で、その旨伝えたところ、「今日から一泊の社内旅行と聞いておりますが、忘れ物をしたので」と何やら意味不明なお言葉。「そんな予定はありません」と若気の至りで正直に言ってしまった。男の浮気と女の復讐を描いた長編、いざ下巻へ。2018/06/06
ぐうぐう
38
有吉佐和子が昭和42年、日本経済新聞に連載した『不信のとき』。男の不倫劇が描かれているのだが、実にうまい。四十代中年男の主人公・浅井の人物造形が巧みで、馬鹿なことをやっているものの、どこか可愛くも見えてくるのだ(昨年刊行された桐野夏生の『猿の見る夢』が平成版『不信のとき』であったことを、今更ながらに気付かされる)。もう一人の不倫男、六十代の小柳が対照的なキャラとして配置されているのも、さすが。女性である有吉が、どうしてここまで男の心理をリアルに描けるのか、不思議で仕方がない。(つづく)2017/01/09
これでいいのだ@ヘタレ女王
28
ったく!男って馬鹿な生き物だ、、、と、思いつつ、自分が男性だったら 魔がさして こんな傲慢な行動をとるのかな、、、まぁ、そんな自信も甲斐性も無いけれど、、と思いつつ読んだ。恍惚の人も そうだが著者は未来に起こりうる問題を見通せる眼力があったなぁ。2015/04/11
背番号10@せばてん。
27
2007年9月7日読了。あらすじは忘却の彼方。ちなみに、過去、映画化1回、ドラマ化4回。歴代の道子役は、岡田茉莉子(1968)、草笛光子(1968)、白木万理(1978)、加賀まりこ(1984)、米倉涼子(2006)。2007/09/07
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