出版社内容情報
地震が起こる。疫病が蔓延する。命が無惨に失われる。何故だ。日本が悪法に染まってしまったからだ──。日蓮は法華経への帰依を説き、他宗派に敢然と挑む。それは権力者たる北条氏を敵とすることに等しかった。斬首の危機、佐渡への配流。苦難の中で、信じる法をひたすら世に広め続ける日蓮は、その信仰と情熱で人びとを救うことができるのか。歴史を動かした僧の半生を描く、感動巨編。
内容説明
地震が起こる。疫病が蔓延する。命が無惨に失われる。何故だ。日本が悪法に染まってしまったからだ―。日蓮は法華経への帰依を説き、他宗派に敢然と挑む。それは権力者たる北条氏を敵とすることに等しかった。斬首の危機、佐渡への配流。苦難の中で、信じる法をひたすら世に広め続ける日蓮は、その信仰と情熱で人びとを救うことができるのか。歴史を動かした僧の半生を描く、感動巨編。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968(昭和43)年、山形県鶴岡市生れ。東北大学大学院でフランス中世史を専攻する。’93(平成5)年、『ジャガーになった男』で、小説すばる新人賞を受賞。’99年、『王妃の離婚』で直木賞を受賞。2014年、『小説フランス革命』で毎日出版文化賞特別賞を受賞する。’20(令和2)年、『ナポレオン』全3巻で司馬遼太郎賞を受賞。’23年、『チャンバラ』で中央公論文芸賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けやき
50
日蓮の半生を描いたもの。日蓮のように頑なに法華経のみを信じ他宗派を容れないとなると日本ではなかなか受け入れられないだろうなと思った。2023/10/11
みこ
24
日蓮の半生を描く。それも元寇の前半である文永の役までなのでここで終わり?と思ってしまう。経文に書いてある通りとどこか嬉々として法難を受け入れてしまい、ガチで自分を殺しに来る相手に会話のチャンスと身をさらしていく日蓮の姿に少々引いてしまうところもあるのだが、それでも彼の一途さに魅入られて読み進んでしまった。常に正論が世の中に受け入れられるわけではないのだが、強くも幼い主人公であった。2023/11/10
鈴木拓
20
宗教を国の軸に据えている国は少なくない。何を日本の場合は、神道と仏教を融合させた独自の価値観があるように思うが、すべての基本は仏教にあるのだということであれば、日蓮の語ることは正しい道なのかもしれない。一方、権力者が宗教あるいはそれに類するものを支配の道具として使おうとしたり、それを語って権力に阿る者たちがいるのは、いつの世もわかりやすい構図として存在している。だからこそ、それを諫める「教え」ができ、諦めるための「考え方」ができるのかと、穿った見方をしてしまう自分がいる。しかし学びは多かった一冊。2023/11/08
流石全次郎
10
先祖から伝わる我が家の宗派を愚弄しながら物語は進行しました。南無妙法蓮華経。そうはいっても国を思い妥協を許さない日蓮の姿勢。闘う姿勢に引き寄せられ物語の展開に引き寄せられました。我が家の宗派は法然上人、南無阿弥陀仏。されど息子の高校は親鸞聖人、南無阿弥陀仏。そこから進学したキリスト系大学。合掌。宗教云々は現代の日本人にはなかなかわかりにくいけど、地球規模ではそこに由来する戦争は終わらない。白か黒か。灰色だっていいじゃないかができない人の戦い方、面白かったです。2023/11/12
どら猫さとっち
10
南無妙法蓮華経の生みの親で、日蓮宗の祖・日蓮。しかし、生涯や人となりはあまり知られていない。本書は日蓮宗を立ち上げ、あらゆる困難や反発に屈せず、自ら編み出した宗教を布教し続ける姿は、清々しく見える。小説新潮で連載した当時のタイトルは「パッション」だったという。宗教は違えど、自らを貫く強さと苦しみは、イエス・キリストと共通するものがあるといえる。2023/11/02