内容説明
肉親も家臣も、いや自分自信さえ信じられぬ…。豊後の名門守護・大友家の統領として、内紛に悩まされながらも、北の大内、毛利と戦い、北九州六国に領土を広げた大友宗麟。戦乱にあけくれた生涯は、また自分自身との闘いの日々であったが、わずか数日のザビエルとの出会いが宗麟の心の闇に一筋の光を投げかけていた。戦国の世にもう一つの王国を求めた切支丹大名を描く歴史長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
94
面白かったです。戦国武将では地味な大友宗麟が主人公。豊後の大名で、毛利氏と戦い、北九州にその領土を広げた武将ですが、戦国武将としての一面はあまり描かれていないという印象です。キリシタン大名としての顔の方が取り上げられていました。歴史ものというより、キリスト教に導かれていった生涯と言えますね。一戦国大名が宣教師との出会いでキリシタン大名へとなっていく信仰心の物語に引き込まれました。下巻も読みます。2016/09/14
金吾
32
○有名な戦国武将にしては颯爽さを感じない大友宗麟の内面が書かれている興味深い作品です。名門ゆえの傲慢、猜疑、虚弱等がいり混じっています。本筋ではありませんが、アルメイダと和田強善の話は好きな場面です。2023/02/10
金吾
30
○久しぶりに読みましたがやはり面白いです。人を信じることが出来ない名家の当主の内面が上手く描かれています。また有名でありながらなかなか主人公にならない人物なので興味深く読みました。旧体制のままなので既得権をもつ国人の独立性が強く統制が効かないというのは今も含めいつの時代でも変わらないのかなと思いました。2022/01/01
金吾
26
○繊細、狡猾、自己中という私の中での大友宗麟のイメージを作った作品です。名門故の苦悩や猜疑という部分がよく伝わります。2025/09/09
ちゃま坊
22
九州の大友宗麟は3つの宗教勢力に囲まれている。仏教と神社とキリスト教だ。そして周囲は戦国大名がひしめき合い、互いに調略をはかろうとする。いつ家臣に殺されるかもわからない。父も弟もそれで死んだ。常にアンテナを張って、不審な動きがあれば先制でこれを討つ。最大のライバルは戦のうまい毛利元就。宗麟はよく言えば外交上手、悪く言うと八方美人。神社から娘を正室に迎え、仏教勢力に迎合するために出家しながら、武器輸入と貿易の利潤があればキリスト教に近づき、毛利より強大となった秀吉にすり寄り生き残りをはかる。2021/06/04




