内容説明
美しいブロンドの髪とあどけない瞳を持つ14歳の少女が、オーストリアからフランス皇太子妃として迎えられた。少女はやがて、ヴェルサイユに咲いた華麗な花と呼ばれ、フランス最後の王妃として断頭台に消える運命にある…。フランス革命を背景に、悲劇の王妃の数奇な生涯を、貧しい少女マルグリット、サド侯爵、フェルセン、ミラボーなど多彩な人物を配して綴る、壮大な歴史ロマン。
著者等紹介
遠藤周作[エンドウシュウサク]
1923‐1996。東京生れ。幼年期を旧満州大連で過ごし、神戸に帰国後、11歳でカトリックの洗礼を受ける。慶応大学仏文科卒。フランス留学を経て、1955(昭和30)年「白い人」で芥川賞を受賞。一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア作品、歴史小説も多数ある。’95(平成7)年、文化勲章受章。’96年、病没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
385
フランス革命の怒涛のごとき潮流に翻弄されてゆくマリー・アントワネットを描くに際して、遠藤周作の意気込みもわからなくはないが、カリオストロからサド侯爵、はてはフェルゼン、はてはモーツァルトからロッシーニまで動員したことは、主題を拡散させることに繋がりかねないだろう。カリオストロもさることながら、とりわけマルグリットに「首飾り事件」のいわば主役ともいうべき偽王妃を演じさせたことは、まさに遠藤周作の想像力の賜物、物語の醍醐味と見るか、あるいは歴史小説としての逸脱と見るかは意見の分かれるところ。⇨ 2018/05/02
ちょろこ
128
わかってはいるけれど…の一冊。悲劇の王妃マリーアントワネット。彼女の運命は嫌というほどわかってはいるけれど、やっぱりたまに会いたくなるし、悲劇を再確認したくなる。数々の、これからを予感させるような出来事は偶然とはいえ、彼女の心をざわつかせ、それを忘れるために繰り広げられる贅沢な時間。寂しさを紛らわすための時間。彼女の揺れる心情が手にとるように伝わってきた。首飾り詐欺事件を機に確実に暗雲が立ち込めてきた。もう少し周りを見渡せれば…もう少し早ければ…いくつものたらればが胸を打ちながら下巻へ。2022/10/12
優希
109
フランス革命を背景に、マリー・アントワネットとマルグリットの視点から描いた歴史絵巻。2人のあまりにも違う境遇に唖然とさせられました。マリー・アントワネットが必ずしも恵まれていたとは言えないかもしれませんが、それは数奇な運命への道標だったのかもしれませんね。下巻も読みます。2018/08/10
あつひめ
93
子は、親を選べない、または、あなたの子になりたくて生まれてきた…なんてことを聞くことがあるが、マリー・アントワネットが、オーストラリア王女でなかったら、こんなに美しくなかったら、もっと勤勉であったなら…何かが、変わったのかもしれない。そして、マリー・アントワネットの心の闇を損得抜きで本当に気遣える人がいたら。マリー・アントワネットの振る舞いは、ほんの引き金に過ぎず長い歴史の中での国民の苦しみが爆発するのは時間の問題。ベルバラとは違う、国民の声も聞こえてくる。とても先が気になる。2014/12/07
財布にジャック
66
マリー・アントワネットの生涯だけでなく、遠藤さんの創作の部分の主人公のマルグリットの生涯も絡んで、面白さが倍増しています。これは、下巻が手元にないのがもどかしく感じられる程続きが気になります。2014/03/26