新潮文庫
木 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 173p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101116075
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

「樹木に逢い、樹木から感動をもらいたいと願って」北は北海道、南は屋久島まで、歴訪した木々との交流の記。木の運命、木の生命に限りない思いを馳せる著者の眼は、木をやさしく見つめ、その本質のなかに人間の業、生死の究極のかたちまでを見る。生命の根源に迫るエッセイ。

目次

えぞ松の更新

ひのき

木のきもの
安倍峠にて
たての木よこの木
木のあやしさ


材のいのち
花とやなぎ
この春の花
松楠杉
ポプラ

著者等紹介

幸田文[コウダアヤ]
1904‐1990。東京生れ。幸田露伴次女。1928(昭和3)年、清酒問屋に嫁ぐも、十年後に離婚、娘を連れて晩年の父のもとに帰る。露伴の没後、父を追憶する文章を続けて発表、たちまち注目されるところになり、’54年の『黒い裾』により読売文学賞を受賞。’56年の『流れる』は新潮社文学賞、日本芸術院賞の両賞を得た。他の作品に『闘』(女流文学賞)、『崩れ』『包む』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ🍀

158
大切に読みたい本。礼儀深く多彩な自然を丁寧に記している。北海道のえぞ松、木曾の檜、屋久島の杉、それぞれの風貌と良質な感動を巡り、心の汚れを洗われ、心中に新しい養分を補給される。樹木と付き合える人はそれぞれに優しさがある。老樹と中年壮年の木、青年少年の木、幼い木が全て揃って林は元気なのである。蕾が花に、芽が葉になろうとする時、決して手早く咲こうとはしない。花はほころび、葉はたゆたいながらほぐれる。芽吹きを好く癖はここ数年、余計にその傾向が強くなった…幸田文氏。私はあなたをどこまで汲むことができたのだろうか。2021/01/31

さと

110
幸田文さんが、まるで、木々を飼い、それらが育っていくさまを楽しむ様子を見るようだった。知識に依らず愛する者を慈しむ姿が無邪気で愛らしい。私が手にした本の表紙には、大木の根元に座し、その幹や枝を見上げる文さんの姿。語っておられるのだろうか、"目をぬらして"おられるのだろうか。二人?だけの間に交わされる“気”が伝わるようだ。私の感性を揺さぶり、その未熟さを知らしめる一冊だった。言葉を紡ぐというより体中からにじみ出る全て、吐息、汗、涙…ありのままなのだ。涙が出るほど心が震えて止まらない。2017/03/23

優希

103
木にまつわるエッセイ集。木々を見つめる眼差しには木と交流することを楽しんでいるような姿が浮かび上がります。その優しさに包まれた想いは、その生命から生死の本質を見ているような気がしてなりませんでした。1本の木がやがて枯れゆく姿まで見据えているからこその生命の原点まで迫っているのだと思います。2017/05/06

(C17H26O4)

85
木々の命を垣間見た。心を打たれた。木々の様々な姿が目の前に現れた。気分のいい林の様子には心が解放され、鼻腔に清々しい空気を感じて背筋が伸びるよう。一方、ねじれやこぶ、木々の生きる苦しみは人のそれと似ていて深く胸を突いた。アテのどうしようもないたちの悪さや、寿命を使い尽くした材の貴さ、これもまたひとつの姿。幸田文の木々へ向き合う真摯な姿勢、飾らない美しい文章が心の滋養になる。今後何度も読むと思う。2019/05/02

南雲吾朗

73
幸田さんの樹木に対する愛情が凄く伝わってくる。樹木を通して、人の生き様、在り方を著わしており、この人には、空気と同じように樹木がある事が当たり前の環境だったのだなと感じた。この本を読んだ後から日々目にする木々の視方が少し変わった。ある意味、日常生活に変化を与えてくれた本だった。解説の佐伯一麦さんが「いい文章を読んだ、というよろこびに深々と浸った。」確かにそういう気持ちになれる。本当に良い本に巡り逢えた。2019/07/06

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