出版社内容情報
Q新聞広告部長・植木欣作はある日の自社の朝刊を広げて目を疑う。和同製薬の広告のすぐ上に、同社で売り出し中の新薬「ランキロン」を注射された患者が中毒死した記事が出ていたのである。憤激する広告代理店と悪びれない編集部の板挟みになった植木は……。組織のなかで苦悩する管理職を描く表題作をはじめ、男女の恋情と打算を描く「一年半待て」「支払い過ぎた縁談」など初期の傑作8編!
内容説明
Q新聞広告部長・植木欣作はある日の自社の朝刊を広げて目を疑う。和同製薬の広告のすぐ上に、同社で売り出し中の新薬「ランキロン」を注射された患者が中毒死した記事が出ていたのである。憤激する広告代理店と悪びれない編集部の板挟みになった植木は…。組織のなかで苦悩する管理職を描く表題作をはじめ、男女の恋情と打算を描く「一年半待て」「支払い過ぎた縁談」など初期の傑作8編!
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909‐1992。福岡県小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。’58年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
83
清張さんの初期作品8作。TVドラマで何度か映像になった作品もあるが、やはりどの作品も面白い。「悪事は絶対にバレる」帯の文句そのもの。「地方紙を買う女」地方の新聞を購読する際に理由を記入したのが運のツキ。連載小説を書く作家が理由に興味を持ち始めた。ネット購読ならもしかすると完全犯罪だったかも。「紙の牙」不倫旅行現場を目撃された役所の男。目撃したのは役所に物品を入れている男。ねちねちと脅されながら意のままになるしかない。その果てに…。清張さんの書く恋愛事件、政治経済、核心を突いてるだけに時代を超えて楽しめる。2024/06/19
じいじ
69
コロナ禍、久々に本屋に寄ったら、松本清張の再版モノが平積みされていて、読んでみたくなった。初期のミステリー8篇の短篇集で、どの話も面白かった。表題作の【空白の意匠】は、舞台設定が懐かしい新聞社・広告業界なので忘れていた昔を思い出した。2024/07/24
アッシュ姉
61
さすがの傑作選。最近読んだばかりの短編も含まれていたが、じっくり読み返して愉しめた。帯のとおり清張作品では悪事は絶対にバレるのだが、悪事に手を染める人間の愚かな欲望や、露見していく緊迫感がたまらなく面白いのだ。2024/07/11
konoha
39
初期ミステリ傑作集だけあり、どれも面白い。男女の愛憎や人間の欲が引き起こす事件を描く。シンプルで力強い文章が心地良い。映画のような「白い闇」が好き。妻は夫が失踪し寂しさに流されると思いきや、犯人と対峙する強さがある。「空白の意匠」は新聞社の広告部と編集部の攻防。同じ業界で働いていたので広告の段数が懐かしい。広告部長の植木の気持ちが痛いほどわかる。ネットがない時代、新聞や電報で知って行動すると時間がかかる。だから伝わる思いや躍動感があった。「一年半待て」などタイトルもかっこいい。2025/06/17
KEI
38
8編の短編集。どの作品も遜色なく面白い。松本清張氏の本は長編を多く読んで来たが、短編も短編もこれほど面白いとは… 帯に「悪事は絶対にバレる」の言葉そのものだった。「地方紙を買う女」地方の新聞を購読する際に理由を記入したのが失敗だった。書かなければ完全犯罪になったのに。連載小説を書く作家が理由に興味を持ち始め、探偵になり解決した経過が面白かった。初期の作品との事で時代を感じさせてはいたが、全く問題は無かった。2024/11/13
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