出版社内容情報
ミステリには「清張以前」と「清張以後」がある――。巨匠の凄みを凝縮した初期の傑作8編。心臓麻痺で突然死した教員の机に開かれた百科事典には「星図」の項が。その意味を探る表題作のほか、清張ミステリの出発点「張込み」、新人俳優に舞い込んだ映画出演の?末を描く「顔」、九州某県の市長急死の謎を追う「市長死す」など、誰もが持ちうる後ろ暗さや焦りを克明に描く本格推理短編集!
内容説明
ミステリには「清張以前」と「清張以後」がある―。巨匠の凄みを凝縮した初期の傑作8編。心臓麻痺で突然死した教員の机に開かれた百科事典には「星図」の項が。その意味を探る表題作のほか、清張ミステリの出発点「張込み」、新人俳優に舞い込んだ映画出演の顛末を描く「顔」、九州某県の市長急死の謎を追う「市長死す」など、誰もが持ちうる後ろ暗さや焦りを克明に描く本格推理短編集!
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909‐1992。福岡県小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。’58年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あすなろ
106
清張氏の初期短編集で、清張没後30年企画として新潮社が編んだ最新刊。僕は学生時代のある時期、貪る様に清張作品を読んだ時期があった。それ以来久しぶりに読んだのだが、やはり清張作品は別物である事を実感。人という業である故の人生の奈落からの凄みを感じさせてくれる桁が明確に違う。それを堪能出来て実感出来る一冊。学生時代から僕はいつも思うのであるが、もし現代に清張氏が生きていらしたら現代ツールを活かしてどういう作品が産まれるのか。そんな事を夢見る凄みを味わえる作家はそうそういないのである。2022/10/23
涼
78
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/11/post-504b38.html ほぼ全てが、既読でした。あらためて清張は面白いと思います。2022/11/18
じいじ
74
ここへ来て「清張ミステリー」にハマってしまった。8篇の短篇は、どれも面白い。初期作品と言えども完成度が高く、細部まで気配りが行き届いていてケチをつけられません。【表題作】学園内が二派にわかれて紛争のなか、38歳の教師が謎の突然死を…。警察の検視結果、死因は心臓麻痺。疑いのない自然死で決着か?に見えたが、事件の様相を…。私は大手企業の内紛を描いた【殺意】が好きです。 役員間近の男が、秘書の席を離れた15分足らずの間で謎の死を…。死因は青酸カリによる中毒死と判明。自殺か、他殺か?【顔】は再読でも、面白かった。2024/12/21
キムチ
70
初期もの短編。大半は倒叙ミステリー、個人的に好みラインナップ。既読もあるが何度読んでも名作感は薄れず。超短編「張込み」はミステリー執筆のお手本とすら思える。戦時中の影を下地にしたモノは埋もれた、消されたダークが更に山積?と推測に繋がる。清張=昭和と任ずる向きに異論は少ないと思うが「煙草、愛人、残業」が社会の根底に常在 ザ昭和を形作った要因の一部?と思った。当時を肌で知る人が消えて行っても、読まれるサブカルのトップには間違いない。サスペンスの魅力はトリックじゃなく人の心理、動機!だからこそ読みたくなる2024/09/10
konoha
59
松本清張の短編集が面白くてハマっている。二転三転する展開、殴られたような衝撃がクセになるのと人間の心理が伝わってくる情景描写が好き。日記形式の「顔」は新人俳優が映画に出演し過去の罪を暴かれるか気になり始める。終盤が鮮やか。情景描写が光る「張込み」は刑事が見つめる風景と単調な日々を繰り返す主婦に隠された思いが印象的。「声」は犯人の声を聞いてしまう新聞社の電話交換手、朝子が知的で勇敢でチャーミング。犯罪が上手く行ったかに見えても人を信じきれず、自ら崩壊する話が多く考えさせられた。2025/06/26