内容説明
建設会社専務の味岡は、高級官僚に顔が利く“先生”を中心にした談合組織に入り、工事の情報を得ていた。彼が仲間と“先生”に会っていた日、同じビルの屋上で他殺死体が見つかる。偶然、後に犯人と疑われるような行動を取ってしまった味岡は、芸者との逢引き先でも、“先生”の女性秘書の遺体にぶつかってしまう…。巧妙なワナに追いつめられていく味岡。長編サスペンスの傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
44
はからずも殺人事件に巻き込まれてしまう主人公・味岡。そして第二の殺人が起こる。これは周到に仕掛けられた罠なのか? 下巻へ。2016/01/29
坂城 弥生
24
最初のほうの談合の話は正直あまり興味が持てなかったけれど、段々話にのめり込んでいた。どんな結末を迎えるか楽しみ。2019/02/16
かわちゃん
24
☆☆☆☆ むさしのオフ会で、いさらこさんにオススメされて、積ん読になっていたのを、やっと読みました。さすが清張先生と納得の迫力と緻密さ。昭和後期の建設土建業界を舞台に、ある殺人事件とそれに巻き込まれる男の顛末を、一人称で引きずりこまれました。業界と政治の癒着、談合の手順、建設土建用語の数々と、緻密さが圧巻。そして男の連鎖的に巻き込まれる様子を、サスペンスフルに小気味良く展開するのも、とても映像的。改めて清張作品が多数映像化されている理由も、納得の上巻でした。さぁ下巻がどうなるかで、ございます。2015/05/31
きょちょ
19
主人公は建設会社の専務。 彼は、高級官僚に顔が利く「先生」のビルによく出入りするのだが、そのビルの屋上に死体が運び込まれる。そして主人公がそれに関わっているように仕組まれる。そして、先生の主宰する京都のゴルフ場の近くで、先生の秘書が殺され、そこに別の目的でやってきた彼がその死体と遭遇する。 彼はどうやら罠にはめられているのだが、それはなぜか、そして罠にはめようとしている真犯人は誰なのか。 下巻へ。 ★★★2023/08/24
matsu04
17
公共工事受註獲得のためのヤミの談合組織に属する大手建設会社専務の味岡。そもそもあまり立派な人物とは言えないが、周辺で殺人事件が起きた後の彼の行動が、何故か悉く裏目に出てしまう展開にハラドキさせられっぱなしの長編推理小説。下巻へ。(再読)2023/01/17