出版社内容情報
『点と線』の二人が難事件に挑む!!
神奈川県の相模湖畔で交通関係の業界紙の社長が殺された。関係者の一人だが容疑者としては一番無色なタクシー会社の専務は、殺害の数時間後、遠く九州の和布刈(めかり)神社で行われた新年の神事を見物し、カメラに収めていたという完璧すぎるアリバイに不審を持たれる――『点と線』の名コンビ三原警部補と鳥飼老刑事が試行錯誤を繰返しながら巧妙なトリックを解明してゆく本格推理長編。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
76
2001年の47刷・旧カバーで読む。鳥飼・三原の名コンビ二度目の活躍。『点と線』と同じ掲載誌ゆえの読者サービスが微笑ましい。年齢的に、清張は鳥飼刑事に自分を投影していると思う。もし自分が刑事だったら……という想像を楽しみながら執筆しているかのよう。それにしてもフィルムのトリックは秀逸! デジタル時代の今、アナログ写真のしくみが読者にどの程度通じるのだろうか。2017/08/02
じいじ
74
相模湖畔で業界紙の社長の死体が発見され幕が上がります。警察は連れの和服の似合う24・5歳の女の行方を追います。清張のヒット作『点と線』の名コンビ三原警部補と鳥飼老刑事が、ここでも主役を担当しますが悪戦苦闘をします。この物語は、まだ都内をれ麺電車がくまなく走っている時の話ですが、時代のズレはまったく感じません。東京と九州を舞台に繰り広げる容疑者のアリバイ崩しは手に汗を握ります。清張のトリック推理長編は読み応え充分です。2024/08/14
NAO
72
場所的な問題だけでなく、写真まで使ったアリバイ作り。それを崩していくのは『点と線』の名コンビで、三原たちがいかにしてこの鉄壁とも見えるアリバイを崩していくかが読みどころ。和布刈神事、大宰府城址、水城など、福岡ゆかりの行事、名所が多く出てきて、旅情サスペンス的なところもあるが、アリバイ崩ししかなく、話の深みがない。2019/04/28
ちょろこ
56
「刑事」なるものを満喫した、一冊。あの「点と線」の三原、鳥飼コンビが挑んだ事件。気になる人物には完全なアリバイがあった。そのアリバイをどう崩すか、トリックをどう紐解いていくか…ひとつ解明して進んだと思ったら壁にぶちあたる…また戻る…まるで迷路のようだ。ひとつひとつコツコツ丁寧に紐解き、ゴールまで諦めずに進む姿はこれぞ、刑事!っていう感じ。秋の夜長に久しぶりに楽しめた、これまた古き良き推理小説。2015/10/25
達ちゃん
51
松本清張さん初読です。まさに昭和という感じでいろいろと古さを感じますが、逆にそれが意外と新鮮。アリバイトリックを崩していく刑事の執念がすごく良かったです。しかし、フィルムのトリック渋すぎる^^2019/01/05